自衛隊からIT転職を考えたときに、SESという働き方を目にする人は多いと思います。
でも、同時に不安にもなりますよね。
「SESってやばいの?」「未経験でも入れるの?」「自衛隊よりきついの?」「将来につながるの?」
その不安の奥には、たぶん「自衛隊の外でもやっていけるのか」「決めた一歩が間違いだったらどうしよう」という、もっと根っこの怖さがあるはずです。
この記事は、その怖さを抱えたあなたが、煽りでも脅しでもなく、実際に行った人間の事実をもとに自分で判断できるようになるために書いています。誰かの正解をなぞるのではなく、あなた自身の納得で次の一歩を選べるようになることがゴールです。
私自身、自衛隊から未経験でSESに転職しました。
結論から言うと、SESに転職して働き方も、評価のされ方も、将来の選択肢も大きく変わりました。その経験は今の仕事にもつながっています。
ただし、良いことばかりではありません。未経験でIT業界に入る以上、苦労もありました。
だからこの記事では、元自衛官としてSESに転職した立場から、良かったこと・きつかったこと・自衛隊経験が活きた場面を正直にお見せします。あなたが「自分の場合はどうか」を考える材料にしてください。
やまと私は高校を卒業してから4社を歩いてきました。
2022年3月末で陸上自衛隊を退職し、翌4月1日に未経験でSES企業へ入社。約2年働いたあと、いまは製造業のDX推進を担当しています。
結論:働き方も選択肢も大きく変わる。ただし、楽ではない
先に結論を書きます。
- 自衛隊からSESに転職すると、働き方・評価のされ方・将来の選択肢は大きく変わる
- ただし「SESに行けば人生逆転」ではない。未経験なら、入ってからも学び続ける苦労がある
- 自衛隊経験は活きる。ただし、そのままでは伝わらないので民間向けの言葉に変える必要がある
「SESはやめとけ」と一方的に否定する記事でも、「SESなら誰でも稼げる」と持ち上げる記事でもありません。
実際に行った人間として、両面をそのまま書きます。あとは、あなたが自分の状況に当てはめて読んでください。
自衛隊からSESに転職して、働き方は大きく変わった
私は2022年4月、未経験でSES企業に入社しました。
担当したのは、電力会社向けのWebポータルの開発やAPI基盤づくり。Vue.js、Python、Java、AWSと、未経験の入口にしては幅広く触らせてもらえました。アジャイルもウォーターフォールも、両方のやり方を経験できました。
働いてみて感じた自衛隊との違いを整理すると、こうなります。
| 自衛隊 | SES |
|---|---|
| 階級・命令系統・部隊行動 | 案件・現場・スキル・顧客からの評価 |
| 決められた任務を確実に遂行する | 分からないことを調べながら成果を出す |
| 組織内での評価が中心 | 現場での成果やコミュニケーションも評価される |
| 配置や任務は組織が決める | 案件や現場によって働き方が変わる |



いちばん大きな違いって何でしたか?



「指示を受けて確実に動く力」より、
「分からないことを自分で調べて進める力」が求められることですね。
ここは頭の切り替えが必要でした。
だからあなたも、この一覧を「自衛隊で当たり前だったこと」が通じなくなる地図として使ってください。怖がる必要はなく、何が変わるかを先に知っておけば、入ってからの戸惑いはかなり減らせます。
質問とレビューの受け方の一例
上の表の2行目のとおり、SESの現場では、分からないことを調べながら進めます。ただ、調べても分からないことを1人で抱えると、作業が止まったまま時間が過ぎます。そうならないための、質問のしかたと、書いたコードへの指摘(レビュー)の受け方の一例です。
質問する前に、次の4つを書き出しておくと、聞かれた側が状況をつかみやすくなります。
| 書き出すこと | 書き方 |
|---|---|
| 何をしようとしているか | 作業の目的を1行で書く |
| 何を試したか | 調べたページと、変えたところを書く |
| 何が起きたか | エラーの文面や画面の表示を、そのまま貼る |
| 何が分からないか | どこまで分かっていて、どこから分からないかを分けて書く |
調べる時間には区切りを付けておき、区切りまでに進まなければ聞きます。区切りの長さは現場によって違うので、最初に先輩か担当者に聞いておきます。
レビューの指摘は、書いたコードについてのものです。指摘ごとに、直したか、直さない理由を返します。意図が分からない指摘は、そのままにせず聞き返します。
後の節で書く、自衛隊で身についた報連相は、この質問のしかたと指摘への返し方で使えます。
SESに転職して良かったこと
良かったことを整理すると、5つあります。
- ITの実務経験を積めた
- 民間企業の働き方を知れた
- 自分の市場価値を意識するようになった
- 学び続ける習慣が強くなった
- 今のDX推進や開発の仕事につながった
特に大きかったのは、5つ目です。
私にとってSESは、単に「自衛隊を辞めた後の転職先」ではありませんでした。ITの現場を知り、開発の実務を経験して、今の製造業DXの仕事につながるきっかけになりました。
もちろん、入っただけで自動的にそうなるわけではなく、現場でどう動くか次第ではあります。
だからあなたにとっても、SESを「ゴール」ではなく「次のキャリアの入口」として見られるかどうかが、入った後に伸びるかどうかの分かれ目になります。
SESに転職してきつかったこと
良い面だけ並べる記事は信用できないと思うので、きつかった面も正直に書きます。
- 未経験なので、最初は分からないことだらけ
- IT用語や開発の流れに、ついていく努力が要る
- 自分で学び続けないと置いていかれる
- 現場や案件によって、環境の当たり外れがある
- 1年目の年収は下がる(私は約100万円ダウン)
自衛隊のように、体力や根性だけで乗り切れる場面ばかりではありません。調べる力、学ぶ力が必要でした。
SESが悪いというより、未経験で入るなら、この現実を先に知っておく必要があるということです。
だからあなたも、この5つを「行かない理由」ではなく「行く前に覚悟しておくこと」として読んでください。先に知っていれば、年収ダウンも学習の壁も、想定内の通過点に変わります。
年収が実際にどう動いたか(下がり方と取り返し方)は、別記事に時系列でまとめています。


自衛隊経験はSESでも活きた
「自衛隊経験なんて、ITで役に立たないのでは」と不安な人も多いと思います。
結論、活きます。ただし、そのままでは伝わりません。
自衛隊で身についた継続力・責任感・報連相は、IT現場でもそのまま武器になります。問題は、それを民間企業に伝わる言葉に変換できるかです。
| 自衛隊での経験 | IT業界向けの変換 |
|---|---|
| 時間を守る | 納期や会議時間を守れる |
| 報連相ができる | 進捗・課題・不明点を早めに共有できる |
| きつい訓練を乗り越えた | 地道な学習や業務を続けられる |
| 部隊で動いた経験 | チーム開発や現場での連携に活かせる |
だからあなたも、自分の自衛隊経験を「ITに関係ない過去」として捨てないでください。この変換表のように民間の言葉に置き換えれば、あなたのその数年は、面接で語れる立派な強みに変わります。
面接や職務経歴書でこの変換をどうやるかは、転職の進め方の記事に詳しく書いています。


SESに向いている自衛官・向いていない自衛官
体験談だけだと「で、自分はどうなの」が残ると思うので、判断軸に落とします。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 分からないことを調べるのが苦ではない | 勉強をまったくしたくない |
| 地道に学習を続けられる | 指示されたことだけやりたい |
| 現場ごとの変化に対応できる | 環境の変化が極端に苦手 |
| 報連相を大事にできる | 分からないことを放置してしまう |
| 市場価値を上げて選択肢を増やしたい | 楽に稼げると思っている |
向いていないからダメ、という話ではありません。
ただ、SESに行く前に、自分の性格や働き方との相性を知っておくことは大事です。
だからあなたも、左右どちらに自分が多く当てはまるかを、いま正直に数えてみてください。合う・合わないを先に知ることが、入ってから「こんなはずじゃなかった」を防ぐいちばんの近道です。
SESに行く前に準備しておくべきこと
SES転職を考えるなら、在職中から準備を始めてください。退職してから始めるのと比べて、辞めた後の動き出しがまるで違います。
- IT業界の基本と、SESという働き方を調べる
- PCに触れる時間を増やし、基礎的なIT学習を始める
- 自衛隊経験を、民間に伝わる言葉で整理しておく
- 求人票で、自分が応募できる求人の仕事内容と賃金を見る
「未経験歓迎」と書かれていても、研修制度・配属先・仕事内容・年収は会社によってかなり違います。
今すぐ転職を決める必要はありません。まだ決めていないなら、ハローワークの求人票で、未経験歓迎のIT職の仕事内容と賃金を見比べるところから始められます。転職エージェントへの登録は、IT職へ転職すると決めてからにします。
だからあなたも、まずはこの4つのうち今日できる1つから動いてみてください。在職中の小さな一歩が、辞めた後のあなたを助けます。
SES企業そのものの見極め方(教育環境・配属・案件)は、実際に未経験でSESに入ったときの体験記に書いています。


まとめ:SESは魔法ではない。でも、入口にはなる
- 自衛隊からSESに転職すると、働き方・評価・選択肢は大きく変わる
- ITの実務経験は積めるが、未経験なら学習の苦労と年収ダウンが先に来る
- 自衛隊経験は活きる。ただし民間に伝わる言葉への変換が必要
- 行く前に、向き不向きの確認と求人の現実チェックをしておく
SESは、楽に人生を変える魔法ではありません。
でも、自衛隊の外でITの実務経験を積み、次のキャリアを作る入口にはなり得ます。これは私の話であると同時に、これからのあなたにも開かれている道です。
大事なのは、不安なまま流されて決めることでも、勢いで飛び込むことでもなく、両面を知ったうえであなた自身が選ぶこと。この記事を読んだあなたは、もう「SESってやばいの?」の段階は抜けています。次は、自分の場合はどうかを確かめる番です。
そもそも「辞めるかどうかもまだ迷っている」という段階なら、先にこちらの記事で頭の整理から始めてみてください。


SESなどのIT職で働き始めた後に読む記事(年収と生活の変化への備え、自衛隊との仕事の進め方の違い、在学中の学習の続け方、次の働き方)は、「転職後に定着する」の案内に段階ごとに並べています。
よくある質問(FAQ)
同じ「現場あがり」で製造業の現場SE(社内SE・社内DX)を目指す仲間が集まるコミュニティを、これから作ります。今は第1期の創設メンバーを募集中。会費はかかりません。
まずは、どんな場かのぞくだけでも














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