「転職エージェントに断られた。やっぱり高卒じゃ、無理なのか……」
登録したのに「ご紹介できる求人がありません」と返ってきた。
面談のあと、ぱったり連絡が来なくなった。
誰にでも送っていそうな求人メールだけが届く。
このページを開いたあなたは、たぶんどれかを経験したはずです。正直、へこみますよね。
先に、いちばん大事なことを言います。断られたのは、あなたの人格や努力が否定されたからではありません。エージェントという商売の構造の問題です。
この記事では、エージェントに断られた・放置された高卒・未経験の方に向けて、5社使って分かった現実と、断られたあとの次の一手を体験ベースで解説します。
やまと私は工業高校を出て、大手楽器メーカーの工場と陸上自衛隊で働いてきた高卒です。IT未経験のまま、在職中に転職エージェント5社を使って転職先を決めました。門前払いはされていませんが、「キャリア的に難しいよ」と言われたことも、実質ほったらかしにされたこともあります。
- 断られるのは「あなたの価値」ではなく「構造」の問題
- 「紹介できる求人がない」は、その会社の棚にないだけ。働けないという意味ではない
- 同じ高卒・未経験でも、5社で対応はまったく違った
- 断られても他社には伝わらない。まっさらな状態で次に行ける
- エージェントが全てではない。直接応募も「今は動かない」も選択肢
結論は「どこかに登録しましょう」ではありません。エージェントを使わない道も含めて、次の一歩を整理していきます。
断られるのは「あなたの価値」ではなく「構造」の問題
エージェントは、あなたが転職して初めてお金になります。
採用が決まると、企業側からエージェントへ紹介料が支払われます。年収の3割前後が相場と言われる世界です。利用者が無料で使えるのは、このためです。
つまりエージェントから見ると、求職者は「お客様」であると同時に「商品」でもあります。
シビアな言い方ですが、ここから目をそらすと、断られたときに「自分がダメだからだ」と自分を責める方向に行ってしまう。
商売である以上、「今すぐ売れる人」から動くのは自然な力学です。経験者、大卒、経歴がきれいな20代。そういう人ほど早く決まり、紹介料になります。
高卒・未経験が後回しにされるのも、「紹介できる求人がない」と言われるのも、同じ力学です。あなたの値段がゼロだからではありません。その店の棚に、あなた向けの商品(求人)が置いていないだけなんです。



じゃあ、断られたのは僕が悪いわけじゃない……?



「あなたが悪い」ではなく「店の棚が合っていない」が近いです。棚が違う店に行けば、普通に紹介されますよ。
なぜ高卒・未経験は断られやすいのか(仕組みの話)
理由1:成功報酬モデルは「決まりやすさ」で順番がつく
担当者は、ひとりで何十人もの求職者を抱えています。
その中で、企業に提案しやすい人から時間を割いていく。決まりやすい人を優先するのは、担当者が冷たいからではなく、そういう成果の測られ方をしているからです。
理由2:大手総合型の棚は「経験者向け」が中心
大手のエージェントは求人数を強みにしていますが、中心は経験者・大卒向けです。
高卒OK・未経験OKの求人も持ってはいるものの、割合としては少ない。だから担当者によっては「ご紹介できる求人が少ないです」で話が終わってしまいます。
「そんなにはっきり断られることが、本当にあるの?」と思った人もいるかもしれません。あります。大手各社の公式サイトに「断られるケース」を説明するページがあるくらいで、めずらしい出来事ではありません。
典型的なのは、経験者向け・ハイクラス特化のサービスに未経験で登録したケースです。「ご紹介できる求人がございません」という定型メールが届く。面と向かって断られるというより、メールや音信不通の形で来るのが実態です。
理由3:「断られる」の逆もある——決まりやすい求人に流される
もうひとつ、知っておいてほしい仕組みがあります。
エージェントの報酬は「転職が決まること」で発生します。だから担当者によっては、受かりやすい求人=年収が下がる求人を中心に勧めてくることがあります。
年収を下げる転職は、決まりやすいんです。企業側は「本来より安く人を採れる」ので歓迎しますし、エージェントには紹介料が確実に入る。「経験が活かせます」「お金がすべてじゃないですよね」「将来性のある会社です」——そんな言葉とセットで年収の下がる求人ばかり来たら、一度立ち止まってください。
誤解してほしくないのは、年収ダウンそのものが悪ではないことです。僕自身、教育環境を取って年収100万円ダウンの会社を選びました。問題は、どちらの都合で下がるのか。自分の戦略で下げるのは投資、エージェントの都合で下げられるのはただの損です。
見分け方はシンプルで、「その会社で2〜3年働くと何が積めるのか」を担当者に聞くこと。答えが具体的なら検討の価値あり、ふわっとしていたら流されかけています。
理由4:「断られていない」のに止まるパターンもある
はっきり断られなくても、こういう形があります。
- 面談のあと、求人が送られてこない
- 連絡の間隔がどんどん空く
- 誰にでも送っていそうなテンプレ求人だけ届く
実質的な「後回し」です。これも担当者の悪意というより、構造の産物だと思っています。
ひとつだけ、法律の話をしておきます。
職業安定法という法律は、社会的身分などを理由にした職業紹介の差別的な取り扱いを禁じています(第3条)。だから、まともな会社が「高卒だから紹介しません」と明言することは、まずありません。
現実に起きるのは「ご紹介できる求人がありません」という形です。あからさまな学歴差別というより、棚の問題として現れる。だからこそ、棚を変えれば状況が変わります。
出典:e-Gov法令検索「職業安定法」 ※制度の正確な内容は公式の最新情報を必ず確認してください。
【体験談】高卒・元自衛官の僕が、5社使ったらこうなった
ここからは、僕自身の記録です。
経歴は、工業高校(電子機械科)→大手楽器メーカーの工場→陸上自衛隊で車両整備。学歴は高卒、ITは未経験。エージェントから見て「決まりやすい商品」ではないことは、自分でもよく分かっていました。
先に種明かしをすると、僕は5社で一度も「紹介できません」とは言われていません。総合型と若手向けの窓口を選んだことと、在職中に通信制大学で学び始めていたことが大きかったと思います。もしハイクラス特化の窓口に登録していたら、棚が違うので断られていたと思います。
一度目の登録は「今の自分だと厳しい」と撤退した
実は、辞めると申し出るずっと前——1年以上前に、一度エージェントに登録して相談したことがあります。
そのときの感触は、「今の自分だと、なかなか厳しそうだな」でした。
で、一旦やめたんです。
そこから在職中に通信制大学でITを学び、手持ちの武器を増やしてから出直すことにしました。撤退も含めて「先に市場を見ておく」のは、振り返るとやってよかったことの筆頭です。
在職中にやっていた準備の中身は、自衛隊を辞めたいなら在職中に準備|退職を申し出る前にやるべき5つのことにまとめています。
12月に大手3社へ同時登録→若手特化2社を追加
2021年12月の頭に退職を申し出て、その2週目あたりから本格的に動き始めました。
最初に登録したのは大手3社。doda、リクルートエージェント、マイナビエージェントです。そのあと、若手・未経験向けに強いと聞いたUZUZとウィルオブを追加して、計5社体制にしました。
5社も使った理由は単純で、1社にすべてを預けるのが怖かったからです。
結果的に、これが正解でした。対応の温度差が、想像以上にあったからです。
5社の対応は、ここまで違った
同じ経歴で登録しても、5社で対応はここまで違いました。
| サービス | 当時の対応(2021年12月〜2022年1月) |
|---|---|
| ウィルオブ | 担当者が熱心で、求人紹介がいちばん丁寧。結果的に応募4社と最多 |
| doda | 対応は良かった。求人紹介から2社の応募まで進んだ |
| マイナビエージェント | 担当者が厳しめで「キャリア的になかなか難しいよ」と率直に言われた。相性は微妙だったが、現実を直視する刺激になった。2社応募 |
| リクルートエージェント | 正直、放り投げ感が強かった。それでも2社は面接調整まで進んだ |
| UZUZ | 親身に相談に乗ってくれたが、僕の場合は応募まで進まず相談で終わった |
念のため書いておくと、これは2021年〜2022年当時の、僕と担当者の間の話です。同じ会社でも、担当者と時期で大きく変わると思います。
ただ、「5社でこれだけ違う」という事実そのものは、断られて落ち込んでいる人にこそ知ってほしい部分です。



「キャリア的に難しい」って、面と向かって言われたんですか……。



言われました。へこみましたけど、今は嘘をつかれるより良かったと思っています。あの一言で、職務経歴書を書き直したので。
応募10社、1月の面接ラッシュ
最終的に、SES系の企業を中心に10社へ応募しました。
1月17日からの3日間で面接が5本、という週もありました。在職中としては、かなりの過密日程です。
面接はすべてオンライン。ここで地味に苦労したのが「どこで受けるか」でした。当時は営内(駐屯地の隊舎)住まいで、個室なんてありません。
- 休みを取って、ネットカフェで受ける
- 実家に帰って受ける
- 同部屋の人にお願いして、外に出てもらう
- 事務所の隣の倉庫を借りて受ける
ありとあらゆる場所で受けました。倉庫は電波が悪く、面接の途中で映像が固まって、1社はそれで落ちています。当時は笑えなかったです。
1月後半に複数内定。決め手は給料ではなかった
1月の後半に複数の内定が出て、経営理念と教育体制が合うと感じたSES企業に決めました。
年収は約100万円下がりました。それでも教育環境を取った理由と、下がった年収がその後どうなったかは、自衛隊からIT未経験転職、年収100万ダウンの現実に書いています。
ちなみに、辞意を伝えてから6人の上官と引き留め面談をした話は、3等陸曹への昇任直前でも自衛隊を辞めた理由のほうにまとめています。
断られた・放置されたあとの次の一手5つ
①1社の判定を「市場全体の判定」だと思わない
最初の1社に断られた時点で「高卒は無理なんだ」と結論を出すのが、いちばんもったいないです。
あなたが見たのは、まだ1つの店の棚だけです。
僕も、もし1社だけで判断していたら、たぶん途中で心が折れていました。5社使ったから、熱心に動いてくれる担当者に出会えただけです。
②若手・未経験特化の窓口に変える
大手総合型で「ない」と言われても、20代・未経験・学歴不問の求人を中心に扱う会社の棚は別物です。
選ぶ軸は2つで十分です。
- 20代・未経験向けの求人をどれだけ持っているか
- 面談で経歴を聞いたうえで、具体的な求人の話が出てくるか
僕の場合、あとから追加した若手向けのサービスがいちばん動いてくれて、応募10社のうち4社がそこ経由でした。
③エージェントを介さず、サイト型で直接応募する
エージェントに紹介されなくても、求人サイトから直接応募はできます。
「紹介されない=応募できない」ではありません。エージェント経由では出てこなかった会社に、直接応募で出会えることもあります。
④職務経歴書を磨いて、出直す
断られた原因の半分は、経歴そのものより「経歴の見せ方」にあると感じています。
僕は、車両整備の仕事を「決められた手順を守り、不具合を見つけて直す仕事」と言い換えるところから始めました。現場経験をIT向けに言い換える考え方は、自衛官が援護を使わず未経験IT転職する方法に詳しく書いています。
自衛官の方なら、僕は使いませんでしたが、援護(就職援護)という窓口との使い分けも同じ記事で触れています。
⑤「今は動かない」も、立派な選択肢
何社か当たって手応えがないなら、いったん退いて武器を増やす時期なのかもしれません。
僕自身、最初の登録では撤退して、1年以上あとに出直しました。結果として、そのほうが早かったとすら思っています。
焦って動き続けるより、在職中にできる準備を進めるほうが、次に断られない自分を作れます。
エージェントは「使うもの」であって、「すがるもの」ではない
エージェントは便利な道具です。でも、道具は合わなければ替えていい。
だからこの記事の結論を、「いいエージェントに登録すれば解決」にはしません。
- エージェントを使わず、直接応募で決める人もいます
- ハローワークや地元のつながりで決まる人もいます
- 「今は辞めない」と決めて、社内で力を貯める選択もあります
大事なのは、断ってきた1社への執着でも、エージェント全部への絶望でもなく、「自分を商品として扱える棚はどこか」を探す視点です。
マイナビの担当者に「難しいよ」と言われたとき、正直へこみました。
でもあの言葉は「そのときの市場のものさし」であって、「人生の判定」ではなかった。実際、その1か月後には複数の内定が出ています。
当時いちばん不安だったことを聞かれたら、正直「特にない」が答えです。強がりではなく、先に市場を見て撤退した経験と、在職中の学び直しの貯金があったから、不安になる隙がなかったんだと思います。
まとめ:断られても、次の一手はある
- 断られるのは構造の問題。あなたの人格の判定ではない
- 1社の判定で市場を決めつけない。棚(窓口)を変えて当たり直す
- 盛った経歴で乗り切ろうとしない。あとで自分が苦しくなる
- 手応えがなければ、在職中の準備(学び直し)に切り替える
- エージェントは道具。すがるものではなく、使うもの
最後に、次の一歩のチェックリストを置いておきます。
- 断られた理由を「自分の価値」と切り分けて考えられているか
- 登録が1社だけになっていないか(2〜3社は並行する)
- 若手・未経験特化の窓口を1つ以上試したか
- 職務経歴書を誰かに見せて、感想をもらったか
- 現場経験を「動詞」で言い換えたか(守る・直す・教える・段取りする)
- サイト型での直接応募も試したか
- 生活費の余白が何か月分あるか把握しているか
- 「今は動かない」場合に、何を学ぶか決めているか
8個のうち半分できていれば、十分動けています。残りを1つずつ埋めていきましょう。
よくある質問(FAQ)
- 高卒だと、転職エージェントに門前払いされますか?
-
「高卒だから」と明言して断ることは、まずありません(職業安定法が差別的取り扱いを禁じているため)。実際に起きるのは「紹介できる求人がない」という形です。未経験・若手向けの求人を多く持つ窓口に変えると状況が変わることはよくあります。僕も5社で対応がまったく違いました。
- 断られたことは、他のエージェントに伝わりますか?
-
伝わりません。各社は独立していて、情報を共有していません。1社に断られても、まっさらな状態で次に行けます。
- 何社くらい登録すればいいですか?
-
僕は最終的に5社使いましたが、全部と深く付き合ったわけではありません。まず2〜3社に登録して、面談の感触が良いところに絞っていくのが現実的です。
- エージェントなしでも転職できますか?
-
できます。求人サイトからの直接応募、ハローワーク、知人経由など、道は複数あります。エージェントは「窓口のひとつ」です。
- 面談で、経歴の弱みを正直に話すべきですか?
-
盛るのはおすすめしません。あとで自分が苦しくなります。事実を伝えたうえで「これから何を学んでいるか」をセットで話すと、扱いが変わります。僕は通信制大学で学んでいることを必ず添えていました。














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