「自衛隊を辞めたい」と思ったとき、多くの人は「辞めると言ってから、次を探そう」と考えます。
でも、退職がうまくいくかどうかは、申し出てからではなく、申し出る前の在職中にどれだけ準備したかで、ほとんど決まります。
辞めたいと思うこと自体は、おかしいことではありません。
ただ、勢いで先に「辞めます」と言ってしまうと、収入の空白と「早く次を決めなきゃ」という焦りの中で、選択肢を狭めた決断をしやすくなります。
やまと元陸上自衛官のやまとです。陸自では車両整備の職種で勤務して、3等陸曹への昇任辞令が出る直前に退職を申し出ました。在職中にサイバー大学でITを学びながら準備して、未経験でIT業界へ。この記事は“準備してから辞めた側”の実体験で書いています。
退職は「申し出る前」の在職中の準備で9割決まります。やるべきことは、この5つです。
- 自分の市場価値を知る(転職エージェントで相場を見る)
- 学び直して武器を1つ持つ(在職中の落ち着いた時期から)
- お金の余白を作る(生活費の数か月分を貯める)
- 辞めた後の生活を、先に紙に書く(許容できる年収ダウンも決める)
- 退職の手続き・タイミングを調べる(申し出から退職までは時間がかかる)
まだ「辞めるかどうか」を迷っている段階の人は、先に 自衛隊を辞めたいと思ったら|辞めて正解になるかは“辞めた後”で決まる を読んでください。この記事は「辞める方向に気持ちが傾いた人が、何を準備するか」に絞って書きます。
まだ辞めると決めていなくても大丈夫。自衛隊の外にどんな求人があるのか、無料相談で確認してみるところから始められます。
\登録無料、相談だけでもOK/
未経験・第二新卒向けの転職エージェント
なぜ「辞めてから準備」だと遅いのか(3つの理由)



辞めてから、落ち着いて次を探そうと思ってたんですけど…ダメですか?



気持ちは分かります。でもその順番だと、焦りで選択肢が狭くなりやすいんです。理由は3つあります。
- 収入の空白が、判断を焦らせる
- 在職中しか使えない「時間」と「肩書き」がある
- 辞めると決めてからでは、学び直す余裕がない
収入の空白が、判断を焦らせる
辞めてから次を探すと、その間は収入が止まります。
貯金が減っていくのを見ながらの転職活動は、想像以上に冷静さを奪います。
「とりあえず受かったところでいい」と、条件を妥協しやすくなる。
在職中なら、給料が入り続けている分、落ち着いて選べます。
在職中しか使えない「時間」と「肩書き」がある
在職中は、「現役の自衛官」という肩書きを持ったまま動けます。
転職エージェントへの相談も、求人を見て相場を知ることも、辞めてからではなく今できる。
辞めた後の「無職の数か月」を作らずに、次へつなげられます。
辞めると決めてからでは、学び直す余裕がない
スキルの学び直しは、時間がかかります。
辞めると決めてから慌てて始めても、間に合わないことが多い。
だからこそ、在職中の落ち着いている時期に、少しずつ積んでおく必要があります。
僕が退職を申し出る“前”からやっていたこと
僕は陸上自衛隊で車両整備士として勤務し、入隊2年9か月の最短で3等陸曹に昇任しました。
その昇任辞令が出る直前に、退職を申し出ました。
ただ、辞めると言ってから慌てて動いたわけではありません。
実際には、辞める方向の準備は在職中からずっと進めていました。
全体の流れは、こうです。
自衛隊に在籍したまま、通信制のサイバー大学でITを学び始めました。
自衛隊の外の求人と、自分の市場価値を先に確認していました。
班長から中隊長まで、6人との引き留め面談がありました。
事前の段取りがあったので、慌てずに回せました。
年収100万円ダウンを覚悟した上での決断でした。
いちばん大きかったのは、在職中の学び直し
入隊した翌年(2020年)から、自衛隊に在籍したまま、通信制のサイバー大学でITを学び始めました。
朝6時に起きて課業前に動画とレポート、夜は体力錬成のあとに3時間ちょっと。
土日は8時間ぶっ通しで「貯金」を作る。そんな進め方でした。
正直、いちばんきつかったのは、勉強そのものより試験期の「場所」でした。
営内には、集中できる静かな場所がほとんどありません。
試験前は娯楽室を借りたり、仲間に部屋を譲ってもらったりして、そのたびに気をつかっていました。
何度も「もう無理かもな」と思いました。
それでも続けられたのは、根性ではなくて、「4年で卒業する」というゴールから逆算していたからです。
今日サボると、その分どこかで取り返さないといけない。
逆算で見ると、止まる理由のほうが小さく見えました。
在職中の学習スケジュールの中身は サイバー大学を働きながら卒業した両立スケジュール に詳しく書いています。
申し出る1年以上前から、自分の市場価値を見ていた
転職活動の情報収集も、退職を申し出る1年以上前から始めていました。
民間の転職エージェントに登録して、自衛隊の外にどんな求人があるのか、自分の経験がどう評価されるのかを、先に知っておく。
初めて自分の市場価値を見たときの感想は、正直に言うと「想定より厳しいな」でした。
未経験という壁は、思っていたより高い。
ただ、そのときエージェントに言われた「年収は下がります。でも、戦略次第で戻せます」という一言が、妙に頭に残りました。
下がること自体より、その先に設計があるかどうかなんだ、と。
申し出てからの1か月半は、一気に動いた
そして、退職を申し出てからは一気に動きました。
12月のうちに、班長から中隊長まで6人と面談。「そんな簡単に次が見つかるわけがない」「辞めても続くわけがない」と、何度も言われました。
正直、怖さやプレッシャーはありました。上官に詰められるのは、やっぱりこたえます。
いちばんきつかったのは、年休の申請を「こんなに取れるわけないだろう」と突き返されたときです。
それでも、すでにエージェントとやり取りを始めていたし、応募も走らせていた。
「内定をいくつかもらった上で選びます」と返して、年休も押し通しました。
1月は、サイバー大学の期末試験と、複数のSESの最終面接が同じ週に重なりました。
ただ、ここも事前の段取りで何とか回せたという感覚です。
気合いで乗り切ったというより、申し出る前に準備しておいたから、慌てずに済んだ。
結局、退職って気合いじゃなくて段取りなんですよね。



結果として、退職を申し出てから約1か月半で、未経験で入るSES企業への入社が決まりました。年収は約380万円から約280万円へ、100万円ほど下がるのを覚悟しての決断です。
受け入れられた決め手は、「1年目は下がる、2〜3年で戻す、その先で超える」という設計図を、辞める前に持っていたことです。
- 1年目:年収は下がる(覚悟して受け入れる)
- 2〜3年目:スキルを積んで戻す
- その先:自衛隊時代の年収を超える
学び直しを優先したのにも理由があります。
武器学校行きの話が出て、このままだと大学の卒業が1年延びそうだった。
あと2年なら自衛隊でも頑張れる。でも3年に伸びるのは、自分の中で許容できなかった。だから、早くIT業界に移る方を選びました。
就職援護を使わなかった理由
なお、自衛隊には「就職援護」という仕組みもありますが、僕は使いませんでした。
使わなかった本音(タップで開く)
理由はいくつかありますが、いちばんの本音を正直に言うと、やり取りが面倒そうだったんです。
それなら、自分で登録した民間のエージェントで、IT職に絞って動いたほうが早い。そう判断しました。
(援護そのものを否定する話ではありません。組織のサポートで安心を取りたい人には、合う選択肢だと思います。)
伝えたいのは、「申し出てから1か月半」という速さは、申し出る前の数年間の準備があったからだ、ということです。
退職を申し出る前にやるべき準備5つ(在職中チェックリスト)
ここからは、在職中に進めておきたい準備を5つに整理します。
全部を一気にやる必要はありません。できるものから1つずつで大丈夫です。
| 準備項目 | 在職中にやること |
|---|---|
| 市場価値 | 転職エージェントに登録し、求人相場を見る |
| 学び直し | 武器になるスキル・資格を1つ決めて始める |
| お金 | 生活費の数か月分を貯める |
| 生活設計 | 辞めた後の住まい・生活費・許容年収を紙に書く |
| 手続き | 退職の流れと自分のタイミングを調べる |
① 自分の市場価値を、転職エージェントで確認する



まだ辞めるって決めてないのに、登録していいんですか?



大丈夫です。僕も申し出る1年以上前に、登録だけ済ませました。
自衛隊の外にどんな求人があって、自分の経験がいくらで評価されるのか。
これを在職中に知っておくと、辞める・辞めないの判断材料にもなります。
自衛隊から民間へ、援護を使わずに自力で転職する具体的な進め方は 自衛官が援護を使わず未経験IT転職する方法 にまとめています。
② 在職中に学び直して、武器を1つ持つ
「自衛隊しか知らない」という不安は、武器を1つ持つだけで軽くなります。
ITでも、資格でも、何でもいい。
ただし学び直しは時間がかかるので、在職中の落ち着いた時期から始めるのが現実的です。
働きながら通信制大学で学ぶという選択肢については 自衛官が通信制大学でITを学ぶならサイバー大学が向いている理由 を参考にしてください。
在職中の学び直しには、条件を満たせば国の教育訓練給付金が使えることもあります(※最新の対象講座・条件は 厚生労働省の公式ページ で必ず確認してください)。
③ お金の余白(生活防衛資金)を作る
転職活動や引っ越しには、お金がかかります。
最低でも生活費の数か月分を、在職中に貯めておく。
お金の余白があるだけで、「焦って決める」リスクが減ります。
④ 辞めた後の生活を、先に紙に書く
辞めた後、どこに住んで、いくらで暮らすのか。
ここを先に書いておくと、転職先を選ぶ基準がはっきりします。
「年収はいくら下がっても許容できるか」も、先に決めておくと判断が早くなります。
自衛隊からIT転職すると最初の年収はどう動くのか、実額の話は 自衛隊からIT未経験転職、年収100万ダウンの現実 に書いています。
⑤ 退職の手続き・タイミングを調べておく



申し出たら、すぐ辞められるものじゃないんですか?



すぐには無理です。僕の場合、申し出から退職まで約4か月かかりました。
手続きの流れと、自分の場合のタイミングを、在職中に調べておく。
ここを知らないまま申し出ると、想定よりずっと長く拘束されることがあります。
補足:僕の場合の退職スケジュール
- 12月:退職を申し出(班長から中隊長まで6人と面談)
- 1月:期末試験と最終面接が同じ週に。申し出から約1か月半で内定
- 3月:退職(申し出から約4か月)
- 4月:SES企業に入社
申し出た“後”に一気に動くための準備
準備の本当の目的は、申し出た後に一気に動ける状態を、先に作っておくことです。
申し出てからは、引き留めの面談や、通常の隊務と並行しての転職活動になります。
時間は限られます。だからこそ、
- エージェントは申し出る前に登録済みにしておく
- 応募したい求人の方向性は決めておく
- 面接で話す「自衛隊経験の言語化」を準備しておく
ここまで在職中にやっておけば、申し出た後は「動くだけ」になります。
そして大事なのは、辞めると決めても、隊務は最後まで手を抜かないことです。
目の前の仕事を雑にする人は、次の場所でも信用されにくい。準備と隊務は、両立できます。
準備中にやってはいけないこと(先に言っておく注意点)
最後に、準備の段階でやってはいけないことを正直に書いておきます。
「楽に稼げる」副業や情報商材に飛びつく
退職への不安は、こういう話に弱くなります。すぐ稼げる近道は疑ってください。
準備が整う前に、勢いで「辞めます」と言う
気持ちが先走った申し出は、選択肢を狭めます。
相談相手を間違える
同期や上司にだけ相談して、準備が止まることがあります。情報は自分でも取りに行く。
「全部準備してから」と完璧を目指して動けなくなる
準備は1つずつでいい。まず登録だけ、まず1冊だけ、で動き出す。
向き不向きもあります。
在職中の準備が「自分には合わない」と感じるなら、無理に全部やる必要はありません。できる範囲から、で大丈夫です。
まとめ:今いる場所を全力でやりながら、次の準備を始める
退職がうまくいくかどうかは、申し出る前の準備でほぼ決まります。
- 在職中に、市場価値・学び直し・お金の余白を少しずつ作る
- 辞めた後の生活と、許容できる年収ダウンを先に決めておく
- 申し出たら一気に動く。ただし隊務は最後まで全力で
辞める前から、次の人生の準備は始められます。
まずは「自分の市場価値を知る」か「辞めたい理由を紙に書き出す」か、どちらか1つから始めてみてください。
よくある質問(FAQ)
- 辞めると決めていなくても、転職エージェントに登録していいですか?
-
大丈夫です。市場価値や求人の相場を知ることは、辞める・辞めないの判断材料になります。登録は無料で、相談だけでも問題ありません。
- 退職を申し出てから、実際に辞めるまでどれくらいかかりますか?
-
人によりますが、すぐには辞められないことが多いです。筆者は申し出から退職まで数か月かかりました。だからこそ、申し出る前の準備が効いてきます。
- 在職中に転職活動をしていることは、周囲に言うべきですか?
-
慎重に。相談相手を間違えると準備が止まることがあります。情報は自分でも取りに行く前提で進めるのが安全です。
- 自衛隊の「就職援護」は使ったほうがいいですか?
-
合う人には合う選択肢です。筆者は職種を自分で絞りたかったので使わず、民間のエージェントで自力転職しました。どちらが正解という話ではありません。
- スキルがなくても辞めて大丈夫でしょうか?
-
在職中に「武器を1つ」持つ準備を始めるのがおすすめです。学び直しは時間がかかるので、辞めると決める前から少しずつ積んでおくと安心です。






















コメント