「フリーランスエンジニアは月単価60万」「20代で70万いける」
こういう数字、SNSでよく流れてきます。たしかに高い。でも、その単価がそのまま手取りになるわけではありません。ここを計算しないまま独立すると、「思ったより残らない」となります。
この記事では、会社員の手取り別に「フリーランスでいくらの単価ならトントンになるか」を、月収+賞与4ヶ月で実際に試算します。
やまと私の周りには20代前半のフリーランスエンジニアが何人もいます。SES1年からの独立、いきなり独立(個人開発で経験あり)、大手SIer3年からの独立と、入り方はバラバラ。月単価50〜65万くらいで動いている人たちです。その人たちのリアルも交えて、数字で見ていきます。
- フリーランスの単価は、会社員の手取りのざっくり2倍ないとトントンにならない
- 会社員手取り20万→単価約40万、30万→約60万、40万→約80万、50万→約100万が目安
- これは「空き期間ゼロ・フル稼働」の試算。案件が空けば、必要な単価はもっと上がる
まず「単価」と「手取り」は何が違うのか
会社員のとき、給与から引かれていたものを思い出してください。社会保険料は会社が半分払ってくれて、所得税・住民税も会社が天引きして納めてくれていました。フリーランスになると、これを全部自分でやります。
- 国民年金:全額自己負担(2025年度で月17,510円・年約21万円。年度で変わります)
- 国民健康保険:全額自己負担。所得が上がると一気に高くなり、自治体で差が大きい
- 所得税・住民税:自分で計算して納付
- 経費:パソコン・通信・書籍・交通など自分持ち
- エージェントの中抜き:エージェント経由なら、手数料が引かれた金額が「あなたの単価」
しかも会社員と違って、案件が空けばその月の収入はゼロです。
会社員の手取り別・トントン単価の早見表
ここからが本題。会社員の年間手取りと同じだけ手元に残すには、フリーランスの月単価がいくら必要かを試算しました。前提は概算モデルです。
- 会社員の年間手取り=月手取り×12+賞与4ヶ月分(手取り換算)
- フリーランスはエージェント中抜き後に手元へ入る単価/12ヶ月フル稼働(空き期間ゼロ)
- 経費 年60万円/青色申告特別控除65万円/2025年改正後の基礎控除を反映/20代単身(介護保険料なし)
- 国民健康保険は所得に応じた概算(自治体で大きく変わる)
| 会社員の手取り(月) | 会社員の年間手取り(賞与4ヶ月込) | トントンに必要な月単価 | 単価倍率 |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 約320万円 | 約40万円 | 約2.0倍 |
| 30万円 | 約480万円 | 約60万円 | 約2.0倍 |
| 40万円 | 約640万円 | 約80万円 | 約2.0倍 |
| 50万円 | 約800万円 | 約100万円 | 約2.0倍 |
きれいに「会社員の手取りの約2倍の単価」で並びます。つまり、周りでよく聞く「月単価60万」は、ざっくり会社員で手取り30万の人と同じということ。単価の数字だけ見て「倍くらい稼げる」と思っていると、現実とズレます。
例:会社員手取り30万(年480万)の人が単価60万で独立した場合
ピンと来るように、月単価60万(年売上720万円)のケースを分解してみます。
- 年間売上(月約60万円)
-
約725万円
- − 経費
-
約60万円
- − 国民年金
-
約21万円
- − 国民健康保険
-
約66万円
- − 所得税・住民税
-
約93万円(所得税約46万+住民税約47万)
- = 手取り
-
約480万円
会社員の年間手取り480万円と、ほぼ同じになりました。売上725万円のうち、手元に残るのは約480万円。差額の約245万円が税金・保険・経費で出ていきます。月単価60万円は「高い」のではなく、会社員手取り30万の人と「ようやく同じ」なんです。
空き期間を入れると、必要な単価はもっと上がる
ここまでは「12ヶ月フル稼働」の理想ケースです。現実には、契約が終わって次が決まるまで案件が空くことがあります。年に1ヶ月空けば稼働は11ヶ月。同じ年間手取りを得るには、その分1ヶ月あたりの単価をさらに上げる必要があります。
会社員なら、プロジェクトが終わっても翌月の給料は出ます。この「空いても収入が止まらない」安心は、手取り換算には出てこないけれど、地味に大きい価値です。
「稼げる」の正体は、リスクを引き受けた対価
誤解しないでほしいのは、「フリーランスは損」と言いたいわけじゃないということ。単価の2倍ルールを超えて稼いでいる人もいます。会社員手取り30万の人が、単価80万・90万の案件を継続的に取れていれば、ちゃんと手取りは増えます。
ただそれは、営業・単価交渉・空き期間のリスクを自分で引き受けた対価です。「単価が高いから稼げる」のではなく、「リスクを取った分だけ上振れする可能性がある」が正確な言い方だと思います。独立前に一度この試算を自分でやってみてください。今の手取りから「自分は単価いくら必要か」を逆算すると、煽りの数字に振り回されなくなります。お金の土台づくりは手取り18万円でも貯金できる家計管理法や、小さく始める副業で月3万円稼ぐ現実的な方法も参考にしてみてください。




よくある質問
- この試算は誰でも当てはまりますか?
-
あくまで概算モデルです。国民健康保険は自治体で大きく変わり、経費の額や稼働月数でも結果は動きます。必ず自分の数字で、公的機関の情報や試算ツールで確認してください。
- 法人化すれば手取りは増えますか?
-
売上が一定以上になると、法人化で税負担が変わるケースがあります。ただし会計や社会保険の手続きが増えるので、税理士に相談するのが現実的です。この記事は個人事業(フリーランス)前提の試算です。
- エージェントを使わなければ中抜きされない分、得では?
-
中抜きがない分、単価は手元に多く残ります。ただし営業・単価交渉・契約管理を全部自分でやる必要があります。ここは判断力と行動力が問われるところです。
まとめ
フリーランスの単価は、会社員の手取りのざっくり2倍ないとトントンになりません。「月単価60万」は、会社員で手取り30万の人と同じくらい。空き期間を入れれば、もっと単価が必要です。単価の数字に乗る前に、いまの自分の手取りから逆算してみてください。
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