「フリーランスは会社員より稼げるらしい」
SNSでもよく流れてきます。月単価70万円、80万円といった数字を見ると、いまの給与明細と比べて気持ちが揺れる人もいると思います。ただ、その数字に乗る前に、ひとつだけ確認しておきたいことがあります。
自分は、どこまで準備できているか。
この記事では、独立を考えている会社員に向けて、フリーランスを「逃げ道」ではなく「準備した人の選択肢」として冷静に判断するための軸を渡します。煽るための記事ではありません。
やまと私は大手楽器メーカー→陸上自衛隊→SES企業→地方中小の製造業(DX推進担当)と4社を渡り歩き、いまは会社員をしながら副業の屋号も持っています。周りにはフリーランスのエンジニア仲間も多く、独立した人・しなかった人の両方を間近で見てきました。その目線で書きます。
- フリーランスの月単価は高く見える。でも手取りは税金・保険・経費・空き期間を引いた後の話
- 未経験からの独立は無謀ではないが、難易度が高い。先に会社員や副業で小さな実績を作るほうが現実的
- 独立の判断は「今の会社が嫌かどうか」ではなく「準備ができているかどうか」で決める
- 逃げ道として使うとしんどい。準備した人にとっては強い選択肢になる
「フリーランスは会社員より稼げる」は半分本当、半分は誤解
まず事実から。フリーランスエンジニアの単価相場は、たしかに高い水準にあります。フリーランススタートの調査では、2026年4月度のフリーランスエンジニアの月額平均単価は77.2万円と報告されています。数字だけ見れば、会社員の給与より高く見えます。ここは誤解ではなく、本当の部分です。
月単価と手取りは別物
問題は、その月単価がそのまま手取りになるわけではない、というところです。会社員のときは、社会保険料の半分を会社が払ってくれて、所得税や住民税も会社が天引きして納めてくれていました。フリーランスになると、これを全部自分でやります。
- 国民健康保険・国民年金は全額自己負担
- 所得税・住民税・消費税は自分で計算して納める
- パソコンや交通費などの経費も自分持ち
- 確定申告のための帳簿付けも自分の仕事
月単価70万円でも、ここから保険・税金・経費を引くと、手元に残る金額はかなり変わります。「単価」ではなく「年間の手取り」で見ないと、比較になりません。
単価相場は高い。ただし「空く期間」も込みで考える
もうひとつ見落としがちなのが、案件が空く期間です。会社員なら、担当プロジェクトが終わっても次の月の給料は出ます。フリーランスは、契約が終わって次の案件が決まるまでの間、収入が止まります。年に1〜2か月空くだけでも、年収の見え方は大きく変わります。つまり「月単価が高い」と「年間で安定して稼げる」は、別の話なんです。
会社員とフリーランスを7項目で比較する
感覚ではなく、項目ごとに並べてみます。どちらが上というより、性質が違うと捉えてください。
| 比較項目 | 会社員 | フリーランス |
|---|---|---|
| 収入 | 毎月安定しやすい | 案件次第で上下する |
| 単価 | 低く見えやすい | 高く見えやすい |
| 社会保険 | 会社負担あり | 自分で手続き・負担 |
| 育成 | 会社によっては受けられる | 基本は即戦力 |
| 信用 | 会社名で補える | 個人の実績が必要 |
| 営業 | 基本不要 | 必要になる |
| 契約終了リスク | 低め | 高め |
この表を見て「フリーランスのほうが向いていそう」と感じる人もいれば、「会社員の安定が自分には合っている」と感じる人もいるはずです。どちらが正解ということはありません。
逃げ道として独立するとしんどい理由
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。「今の会社が嫌だから辞めてフリーランスになる」という動機だけだと、独立後にしんどくなりやすいです。理由はシンプルで、フリーランスは会社員のときよりも自己管理と営業の負担が増えるからです。会社の人間関係から逃げたつもりが、今度は「案件を取る」「単価を交渉する」「お金の管理をする」という別のプレッシャーがやってきます。



私は自衛隊からIT業界へ移るとき、年収が約100万円下がるのを覚悟したうえでSES企業を選びました。「すぐ稼ぐ」より「教育サポートと実務経験を取りに行く」ことを優先した判断です。
逃げ道として選ぶと、この負担に「準備なし」でぶつかることになります。
未経験からいきなりフリーランスが難しいわけ
「未経験でもフリーランスになれますか?」という質問はよく見ます。なれないことはありません。でも、危険というより難易度が高いというのが正直なところです。
未経験だと、案件に入るための「信用」が不足しがちです。クライアントは「この人に任せて大丈夫か」を実績で判断します。実績がないと、スキルシート(職務経歴書のようなもの)を実態より盛ってしまい、いざ案件に入ってから苦しくなるケースもあります。だからこそ、先に会社員や副業で小さな実績を作るほうが、遠回りに見えて現実的です。
独立前に確認したい7つのチェックリスト
「自分はどこまで準備できているか」を測るためのリストです。全部に○がつく必要はありませんが、○が少ないほど、いまは準備フェーズだと考えたほうがいいです。
- 実務経験を、自分の言葉で説明できる
- 副業または個人での受注経験がある
- 3〜6か月分の生活費が貯金してある
- 税金・保険料用のお金を、生活費と分けて確保できる
- スキルシートを盛らずに、案件面談に臨める
- エージェント以外にも相談できる相手がいる
- 「今の会社が嫌なだけ」ではないと、自分で整理できている



私は副業の屋号を開業届として出しましたが、そこから会社員を辞めて独立する道は選びませんでした。会社員の安定収入と社会的信用を残しながら、副業で個人の実績を育てる「二刀流」を続けています。屋号を出す=すぐ独立、ではありません。
フリーランスエージェントとの付き合い方
独立を考え始めると、フリーランスエージェントの案内を目にする機会が増えます。エージェントを使うこと自体は、まったく問題ありません。案件の相場を知ったり、どんなスキルが求められているかを把握したりするのに役立ちます。
ただ、ひとつだけ注意したいのは、エージェントの言葉だけで退職を決めないことです。エージェントは案件を紹介するのが仕事なので、独立を後押しする方向の話になりやすい面もあります。相場確認や案件傾向の把握に使い、「自分の経験でどこまで届くか」は冷静に自分で見極めましょう。
なお、フリーランス側を守る制度として、2024年からフリーランス法が整備されています。取引条件の明示などが義務化されているので、契約まわりの基礎知識として公正取引委員会のフリーランス法特設サイトに一度目を通しておくと安心です(※制度内容は変わることがあるので、必ず公式の最新情報を確認してください)。
まずは会社員のまま副業で準備するのが現実的
ここまで読んで「やっぱり自分はまだ準備が足りないかも」と感じたなら、それは悪いことではありません。いちばん現実的なのは、会社員の安定収入を残したまま、副業で実績を作ることです。会社員の信用と個人の実績、両方を同時に育てられます。いきなり独立して全部のリスクを背負うより、ずっと地に足がついています。
ただし、副業を始めるときは「勤務先の副業規定」「税金の扱い」「体調管理」の3つは確認してください。小さく始めたい人は、まず副業で月3万円稼ぐ現実的な方法や、割に合わない副業の見分け方として時給270円の副業をやめた話を読んでみてください。手を動かす系ではPythonで物件情報を自動収集して月5万円を目指す話も参考になります。






よくある質問
- フリーランスは会社員より稼げますか?
-
稼げる可能性はあります。ただし、案件単価と手取りは違います。税金、保険、経費、案件が空く期間まで含めて、年間で考える必要があります。
詳しくはこちらの記事で紹介してます。
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-
危険というより、難易度が高いです。未経験だと案件に入るための信用が不足しやすく、スキルシートを盛って苦しくなるケースもあります。まずは会社員や副業で小さな実績を作るほうが現実的です。
詳しくはこちらの記事で紹介してます。
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使っても大丈夫です。ただし、エージェントの言葉だけで退職を決めない方がいいです。相場確認や案件傾向の把握に使い、自分の経験でどこまで届くかを冷静に見ましょう。
- 会社員のまま副業するのはありですか?
-
かなり現実的です。会社員の安定収入を残しながら、副業で実績を作れます。ただし、勤務先の副業規定、税金、体調管理は確認してください。
- 独立するなら何から準備すべきですか?
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まずは実務経験の棚卸しです。そのうえで、小さな副業実績、生活費の確保、納税資金の分離、スキルシート作成、相談先づくりを進めると判断しやすくなります。
まとめ
フリーランスは、逃げ道として使うとしんどいです。でも、準備した人にとっては強い選択肢になります。「会社員より稼げるらしい」に乗る前に、自分はどこまで準備できているか。まずは、そこから見てみてください。
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