「高卒の自分が、自衛隊や工場や4社経験を、いまさら一本のキャリアとして語れるのか?」――27歳になった今でも、ふとした瞬間にこの問いが頭をよぎります。
工業高校(電子機械科)を出て、大手楽器メーカーでグランドピアノを組み立て、陸上自衛隊で車両整備をやり、通信制のサイバー大学に在籍したまま自衛隊を辞め、SES企業で電力会社向けの開発を経験し、いまは地方中小の製造業(アルミダイカスト)でDX推進担当をしている。数えれば「4社」、業種で言えば「楽器→自衛隊→IT→製造業DX」。一見、どこからどう見てもバラバラです。
この記事は、そんなバラバラに見える経歴を「あとから横串に通す」やり方を、自分の自分史を題材に書いたものです。きれいに整ったキャリアを見せに来たわけではなく、迷い・失敗・誤算・偶然のかけ算でここまで来た記録として読んでもらえると、たぶん一番役に立ちます。
やまと1998年生まれ、現在27歳。工業高校から大手楽器メーカー→陸上自衛隊→SES企業→地方中小の製造業DX担当と4社を歩いてきました。サイバー大学IT総合学部を在籍中に並行履修して2024年3月に卒業。AWS・DLA G検定・Python3基礎などを取得し、いまは現場でMES(生産管理システム)の自社開発をやっています。「武器職人キャリア戦略」をテーマに自分史を書いています。
- 高卒でもキャリアの選択肢は後から作れる。ただし「最初からきれいに見せる」のは無理
- バラバラに見える経歴は「次の仕事に持ち込めるスキル」を抽出すれば横串が通る
- 自衛隊・通信制大学・現場仕事・ITは、それぞれ独立して評価される
- 経歴の言語化は紙に書く前に「家族や同僚に喋ってみる」のが効く
- この記事の末尾に、自分の経験を棚卸しするための7問チェックリストを置いています
結論:高卒でも、キャリアの選択肢は後から作れる
タイトル通りの結論ですが、もう少し正確に言うと「高卒からでも、各経験を次の仕事にどう変換したかを言語化できれば、キャリアの選択肢は後から作れる」になります。
ここで「言語化」と言っているのは、大層なことではありません。たとえば「自衛隊で車両整備をしていた」を、そのまま履歴書の職歴欄に書くのではなく、「現場で動かないものを動かすために、メーカーと通信プロトコルレベルで仕様の擦り合わせをした経験がある」と書けるかどうか、ということです。
ただし「最初からきれいに見せる」のは無理
ここから先で4社経験を順に書いていきますが、当時の自分はどの段階でも「これが将来のIT・DXに繋がる」なんて思っていませんでした。20歳で自衛隊に入ったときは「とりあえず3年で辞めて次を考えよう」程度の解像度、23歳でSES企業に入ったときは「年収100万円ダウンしてでも未経験ITに行くしかない」という覚悟だけでした。
「きれいなキャリア」というのは振り返ったときに後から見える形であって、その瞬間は誰でも泥臭く迷っています。これが言いたいことの1つ目です。
各経験を次の仕事にどう変換したかを言語化する
横串を通すコツは、「次の仕事に持ち込めるスキル」を抽出して、それを次の仕事で実際に使うことです。
私の場合、楽器メーカーで身につけたQC(品質管理)サークルでの業務改善プロセスを、自衛隊の野外訓練の片付け効率化に持ち込みました。自衛隊で身につけたメーカーとの仕様調整経験を、いまの製造業DXでダイカストマシンメーカーとの通信プロトコル調整に使っています。SES企業で経験した電力会社向けポータルのAPI基盤構築は、いまMES(生産管理システム)を自社開発するときの設計感覚に直結しています。
つまり、経歴は「業種」で見るとバラバラでも、「持ち込んだスキル」で見ると地続きになります。
なぜ高卒キャリアは不安になりやすいのか
ここで一度、当事者として高卒キャリアの不安構造を分解しておきます。これを共有しておかないと、後半の自分史パートが「特殊な人の話」に見えてしまうからです。
同級生との比較で「遅れている」と錯覚しやすい
高卒で18歳から働き始めると、22歳の同級生(大卒組)が新卒で社会に出てくるタイミングで、自分はすでに4年働いている計算になります。本来であれば「4年分のアドバンテージ」があるはずなのに、大卒組のスタートライン整備(合同説明会・新卒一括採用・初任給比較)を見ると、なぜか「自分が遅れている」と錯覚します。
これは比較の軸を「学歴」に置いてしまっているからです。比較を「実労働年数 × 持ち込めるスキル」に置き直すと、高卒組は最初から不利ではないことが分かります。
大卒前提の求人票で「自分には縁がない」と思い込む
転職サイトを見ると、応募条件に「大卒以上」と書かれている求人がいまだに多くあります。これを見て「自分は対象外だ」と判断してしまうのが、高卒キャリアでよくある詰まりポイントです。
ですが実際には、「大卒以上」と書かれている求人の半分は、本当に大卒が必須なわけではなく、過去の慣習で書かれているだけだったりします。「大卒以上または同等の能力を有する者」「学歴不問だが実務経験◯年以上」と読み替え可能な求人は意外と多く、そこに応募して通った経験がある人は私の周りにも複数います。
一次データ:高卒就職者の3年以内離職率
文部科学省の資料(新規学校卒業者の就職離職状況などについて)でも示されている通り、高卒就職者の3年以内離職率は4割前後で推移しています。これは「高卒は離職が多い=悪い」という話ではなく、最初の就職先が合わない場合、3年以内に動く人がそれだけ多いということです。
つまり、最初の就職先がゴールではない、というのが統計の側からも言えます。後で書きますが、私自身も最初の楽器メーカーを2年で辞めて自衛隊に移っているので、この統計の中の1人です。
私のキャリアは一見バラバラに見える
ここから先は自分史パートに入ります。「バラバラに見える経歴の標本」として読んでください。
高卒・楽器メーカー・自衛隊・SES・製造業DX
経歴を業種で並べると、こんな感じです。
- 2017年3月:工業高校(電子機械科)卒業
- 2017年4月〜2019年3月:大手楽器メーカーでグランドピアノ組立(約2年)
- 2019年4月〜2022年3月:陸上自衛隊で車両整備(約3年)
- 2020年4月:サイバー大学IT総合学部AIテクノロジーコース(通信制)入学
- 2022年4月〜2024年1月:SES企業で電力会社向けWebポータル開発(約1年10か月)
- 2024年1月〜現在:地方中小の製造業(アルミダイカスト)でDX推進担当
- 2024年3月:サイバー大学卒業(標準4年で学士取得)
これを履歴書の職歴欄にそのまま書くと、面接で必ず「なぜこんなにバラバラなんですか?」と聞かれます。実際、SES企業から地方製造業に転職したときの面接でも聞かれましたし、そのたびに少しずつ説明が上手くなっていきました。
当時の自分も「一貫性なんてない」と思っていた



一貫性の起点を遡ると、小学校1〜2年生のころに学校の図書館で『はだしのゲン』を自発的に読んだ体験に行き着きます。あの作品から子どもなりに受け取ったのは、「戦争で困らないためのキャリア戦略=武器を作る側=戦地に駆り出されない職人になる」という、いまから思うと相当極端な世界観でした。
もう一つ、9歳ごろに祖父の工場でNCフライス盤や多軸加工機を見た体験があります。油の匂い、騒音、誰もいない工場の静けさが、自分にとって「特別な場所」として刷り込まれました。
そして2008年の冬、両親が離婚しました。父が働かなくなって家計入金が止まり、冬休み明けに転校。母方祖父母宅に引っ越して、以降は母の旧姓を名乗ることになります。10歳の出来事でした。
ここから、「手に職を持って、どんな時代でも食える側に立つ」という方針が、子どもなりに自分の中で固まりました。野球推薦で進学校に行く道もあったのですが、これを蹴って工業高校に進学したのは、その方針の最初の実行でした。
――ただし当時の自分は、「武器職人キャリア戦略」なんて言葉では考えていません。後から振り返ってラベルを貼れただけです。働きながらサイバー大学に通っていた20代前半のころは、「自分の経歴に一貫性なんてない、ただ転々としているだけだ」と本気で思っていました。
- 当時の意思決定の理由を、いま思いつく最も納得感のある説明に書き換えていい
- その説明が、面接で1分以内に話せる長さに圧縮できているか
- その説明に「次に何をしたいか」が含まれているか
この3点が揃えば、外から見たキャリアの一貫性は十分です。過去の事実を後から意味づけるのは、ズルではなく言語化です。


バラバラに見える経歴を「横串」で見ると強みになる
横串とは「次の仕事に持ち込めるスキル」の抽出
「横串」という言葉でなにを指しているか、もう少し具体化します。横串とは、業種・職種・組織が違っても、自分の中で持ち越しが効くスキル・経験・思考の型のことです。
たとえば「ピアノを組み立てた経験」は楽器メーカーでしか使えませんが、「部品の組み付け順序を、手戻りが最小になるように設計する力」は、自衛隊の整備にもITプロジェクトのリリース手順にも持ち込めます。「武器(小銃や装甲車)の整備マニュアルを読む経験」は自衛隊でしか使えませんが、「マニュアル化された手順を、現場で例外が起きたときに自己判断で修正する力」は、SES企業のシステム障害対応にも、いまのDX推進にも持ち込めます。
製造業×IT×DX:私の場合の横串
私のキャリア全体を横串で見ると、こんなふうに整理できます。
| 段階 | 表面の業務 | 横串で見たスキル | 次の仕事への持ち込み |
|---|---|---|---|
| 楽器メーカー (2017-2019) | グランドピアノ組立 | QCサークルでの業務改善プロセス/工場長前での発表経験 | 自衛隊での野外訓練片付け効率化/DX推進での経営層への提案 |
| 陸上自衛隊 (2019-2022) | 車両整備MOS/武器科 | メーカーとの仕様調整/後輩教育/野外訓練の段取り | 製造業DXでのダイカストマシンメーカーとの通信プロトコル調整 |
| サイバー大学 (2020-2024並行) | IT総合学/AIテクノロジーコース | 体系的な情報科学の言語化/学位取得の継続力 | SES企業面接時の説得材料/DX推進時の理論的背景 |
| SES企業 (2022-2024.1) | 電力会社向けWebポータル開発 | Vue.js/Python/Java/AWS/アジャイルとウォーターフォール両方 | 製造業DXでのMES自社開発/IoT導入/NAS整備 |
| 地方中小製造業DX (2024.1〜現在) | MES自社開発/IoT導入/ベンダー管理 | 「現場が分かるIT人材」としての翻訳能力 | 次の段階(取締役 or 独立)への準備 |
この表を作ってみて気づいたのですが、それぞれの段階で得たスキルが、必ず次の段階で実際に使われているんです。これが「バラバラに見えるのに地続きである」ということの中身です。
自衛隊で得たもの(自分史パート①)
武器科・車両整備MOSという選択
2019年4月、20歳で陸上自衛隊に入隊しました。配属は武器科の車両整備MOS(職種特技)。配属系列は次の通りです。
- 2019年4月:神奈川県・武山駐屯地 第117教育大隊(前期教育)
- 2019年夏:東京都・朝霞駐屯地(後期教育・後方支援関係)
- 2019年9月:静岡県・板妻駐屯地 第1師団第1後方支援連隊第2整備大隊第3普通科直接支援中隊 車両整備班 配属
ここで担当していたのはトラックや装甲車の定期整備・故障整備、災害派遣時の車両回収、野外訓練、新隊員教育です。
3等陸曹昇進(入隊2年9ヶ月)と陸曹教育
2022年1月、入隊から2年9ヶ月で3等陸曹に昇進しました。通常は3〜4年程度かかると言われている昇進を、最短ペースで通ったことになります。
その前段階で、2021年夏には第3陸曹教育隊で陸曹教育を受けています。戦闘技術と新隊員教育に重点が置かれた数か月間で、ここで「人に教える側に回る経験」を集中的に積みました。後にDX推進で「現場の人に新しいシステムの使い方を教える」場面に出会ったとき、このときの教育隊での経験が一番効いた、と今でも思います。
武器学校行き → サイバー大学卒業計画が崩壊する懸念



自衛隊在籍中の2020年4月、サイバー大学IT総合学部に通信制で入学していました。週末や夜間にオンライン授業を受け、課題を提出する生活です。当時は「自衛隊で安定収入を得ながら、IT総合学士を取って、将来民間IT企業に転職する」という、自分なりに筋の通った計画でした。
ところが2022年1月の昇進後、上司から「そろそろ武器学校(武器科の専門教育機関)に行くか」という打診が来ました。武器学校に入ると数か月の集合教育になり、その期間はサイバー大学の授業出席・課題提出が物理的に難しくなります。4年で卒業する計画が崩れる懸念が強くなりました。
数週間悩みました。武器学校に行けば3等陸曹としての将来は安泰、給与も上がる。しかし大学卒業が遅れれば、民間IT転職のタイミングを逃す。最終的に、「大学卒業を死守するための戦略修正」として、2022年3月で自衛隊を退職する判断をしました。
正直に言うと、これは「キャリア戦略の事故」でした。本来はもう少し長く自衛隊にいる予定だったのに、大学の時間割と昇進の時間割がぶつかってしまった。当時の自分は「これでよかったのか」と何度も自問しました。
いま振り返ると、この判断は結果的に正しかった(2024年3月にサイバー大学を標準4年で卒業できた)のですが、当時は「正しいかどうかは数年後にしか分からない」状況での選択でした。
- 半年後の業務スケジュールを見て、自分の学習計画と物理的に競合している
- 上司や先輩から「次のステップ」として提示されるパスが、自分が本当に行きたい方向と違う
- その組織の「成功者」のキャリアを見て、自分はそうなりたくないと感じる
3つのうち2つ以上が当てはまったら、退職タイミングを真剣に検討していい段階だと思います。ただし「動く」と「辞める」は別物で、まずは異動や副業で動かせるかを先に試すのが堅実です。


通信制大学で得たもの(自分史パート②)
自衛隊在籍中にサイバー大学IT総合学部へ入学
2020年4月、自衛隊2年目のときにサイバー大学IT総合学部AIテクノロジーコース(通信制)に入学しました。きっかけは「自衛隊だけのキャリアで終わらせたくない」という、当時としては漠然とした不安です。
サイバー大学を選んだ理由は3つあります。
- 完全オンラインで通学不要:自衛隊の勤務体系では平日の通学はそもそも不可能でした
- IT領域に特化:放送大学と比較したとき、自分が学びたい情報科学の体系がカリキュラムに揃っていた
- 学費が大学進学奨学金で賄える範囲:4年で約294万円。サイバー大学独自の奨学金制度もある
学位は「キャリアの保険」ではなく「次の業界への入場券」
通信制大学に通っていて分かったのは、「学位は学歴コンプを消すための保険ではなく、次の業界に入るための入場券」だということです。
私がSES企業に転職したとき、面接で評価されたのは「自衛隊在籍中にも勉強を続けている継続性」と「IT系の単位を実際に取得している事実」でした。学位そのものよりも、「いま現役で学び続けている人」というシグナルとして機能した感覚があります。
4年で卒業した時の年齢が25歳という事実



自衛隊を辞めて2022年4月にSES企業に入社したとき、年収はざっと100万円下がりました。23歳、未経験IT、大学2年終了時点での転職です。「年収100万円ダウンを覚悟しないと未経験ITには行けない」というのは、当時のSES業界では珍しい話ではありませんでしたが、家計には地味に効きました。
サイバー大学を標準4年で卒業した2024年3月、25歳でした。22歳で大卒新卒として社会に出る同年代と比べると3年遅れですが、「現場経験4年+学位+IT実務2年」という組み合わせは、25歳のキャリア候補としてはわりと希少だったらしく、その後の地方中小製造業への転職時にプラスに働きました。
「学歴コンプを学位で消すか、経歴で消すか」という問いには、いまの私なら「両方やる方が早い」と答えます。学位は2〜4年あれば取れますが、その間に止まる必要はなく、現職で経歴も並行して積めば、4年後には両方手に入る計算になります。
- いま勤めている現職の繁忙期と、大学の期末試験の時期が物理的に競合しないか
- 4年間で約300万円を投資する覚悟と、家族の理解があるか
- 卒業後に「学位を使って何に応募したいか」が言語化できているか
3つとも「Yes」なら通信制大学は有力候補です。「Yes」が2つ以下なら、まず短期の資格取得や独学から始めて、感覚を掴んでから判断するほうが安全です。






工場・製造業で得たもの(自分史パート③)
楽器メーカー時代のQCサークル経験



2017年4月、高校卒業後に大手楽器メーカーに入社しました。配属は竜洋工場のグランドピアノ仕上げ課。グランドピアノの棚板削り出し、ペダルやダンパーの取り付け、鍵盤調整などをやっていました。
就職活動は最初、三菱重工→トヨタ→スバルといずれも求人がなく、進路指導の先生に薦められたのが楽器メーカーでした。第1志望ではなかったし、ピアノに特別な思い入れがあったわけでもありません。
ただ、入社後に大きな偶然がありました。野球部繋がりで他課の上司に拾ってもらい、社会人としての基礎(報連相・幹事仕事・QC活動の進め方)を集中的に叩き込まれたんです。これは部活経験とほぼ無関係な「OJTの厚み」で、いまでも感謝しています。
2018年にはQCサークルでリーダーを担当し、工場長前で品質改善発表をしました。「現場の問題を数字で測って改善する」というプロセスを、20歳の段階で1サイクル回した経験は、その後の自衛隊にも、いまの製造業DX推進にも、形を変えて全部効いています。
「現場が分かるIT人材」が後から強力な差別化要素になった
楽器メーカーと自衛隊で計5年間、現場で手を動かす仕事をしました。当時は「IT・DX側にいけたら、この5年は遠回りだった」と感じていましたが、いまの製造業DX推進では「現場が分かるIT人材」というポジションが圧倒的な差別化要素になっています。
たとえば、ダイカストマシンからデータを抽出するためにメーカーと通信プロトコルの仕様調整をするとき、「現場で実際にダイカスト鋳造をやったことがある」という事実が、メーカー側の信頼を一気に獲得します。「机上のIT人材」では出てこない質問が、現場経験のおかげで出てくる。これは後から取り戻せない差です。


IT・DXで得たもの(自分史パート④)
SES企業で経験した「分業されたIT現場」のリアル
2022年4月にSES企業に入社し、約1年10か月在籍しました。主な案件は電力会社向けのWebポータル開発と、API基盤の構築。技術スタックはVue.js・Python・Java・AWS。アジャイルとウォーターフォール両方のPoC(概念実証)を経験しました。
SESに行って良かったことは、「分業された大規模IT現場のリアル」を肌で知れたことです。要件定義、設計、実装、テスト、運用がそれぞれ別チームに分かれていて、自分が触れるのはその中の一部分。「全体像を勝手に把握しないとキャリアが詰まる」という危機感は、ここで身につきました。
製造業DX担当として一人で立ち上げた現在



2024年1月、地方中小の製造業(アルミダイカスト)にDX推進担当として転職しました。役職手当付きで、肩書きは「担当」です。入社して最初に直面したのは、「IT環境が整っていない現場で、社内システム基盤をゼロから構築する」という状況でした。
具体的にやっていることは:
- データ収集整備(Excel/Googleフォーム+GAS連携/データ検証ロジック)
- ダイカストマシンから直接データを抽出(メーカーと通信プロトコル調整)
- MES(生産管理システム)の自社開発(Python/FastAPI/Next.js)
- IoT導入とダッシュボード開発
- NASサーバー整備
これを基本的に一人で立ち上げました。SES企業で経験した「分業」とは正反対で、要件定義からコード実装、ベンダー折衝、現場説明まで全部やります。「一人だからスピードは出る/一人だから抜けが出る」両方が同時に起きるのがDX推進担当の難しさです。
生成AIで一人DX推進が可能になった転換点
ここ1年で大きく変わったのは、生成AI(Claude・Cursor等)を業務に組み込んだことです。コード設計、ドキュメント作成、データ分析の初期仮説出し、現場説明資料の下書きまで、AIに「壁打ち相手」になってもらいながら進めるスタイルに移行しました。
結果として、「一人DX推進」が現実的なオプションとして成立するようになりました。これは1〜2年前なら難しかった働き方で、地方中小製造業のDXは、いま生成AIによって門戸が一気に広がっている段階だと思います。
SES企業はキャリアの中継地点として優秀ですが、「ずっとSESにいる」と「SESを2年で抜ける」の分岐は早めに決めておいた方がいいです。
- 案件で触れる技術スタックを能動的に選べるか(受動的に流される現場は危険信号)
- 業界・業種を1つに絞れる時期が来ているか(自分の場合は「製造業」に絞れた)
- 「次の転職で何を持っていきたいか」が現職の業務と紐付けられるか
私の場合は、SES2年目で「製造業×IT×DX担当」という次の絞り込みが見えたので、そのタイミングで転職活動を始めました。


やまとの自分史を時系列で(戦略×偶然のミックス)
ここまでの自分史を、時系列で並べ直します。各段階に「計画した部分」と「偶然・修正した部分」を併記してあるのが、この記事のオリジナルポイントです。
- 計画した部分:手に職を持つ製造業に就職
- 偶然の部分:三菱重工・トヨタ・スバルに求人なし、進路指導の薦めで楽器メーカー
- 修正した部分:野球部繋がりの他課上司に拾われ、社会人基礎を叩き込まれる
- 持ち越し:QCサークルでの業務改善プロセス/工場長前での発表経験
- 計画した部分:武器科・車両整備MOSで「武器職人キャリア戦略」の実装
- 偶然の部分:板妻駐屯地配属、上司からの陸曹教育推薦
- 修正した部分:武器学校行きが見えた時点で、大学卒業を死守するため退職判断
- 持ち越し:メーカーとの仕様調整経験/後輩教育/野外訓練の段取り
- 計画した部分:自衛隊在籍中にサイバー大学IT総合学部へ並行入学
- 偶然の部分:オンラインコミュニティに加入し副業文脈を知る(2022年8月)
- 修正した部分:SES企業で年収100万円ダウン覚悟、SES2年目で製造業×DXに絞り込み
- 持ち越し:Vue.js/Python/Java/AWS/アジャイルとウォーターフォール/IT総合学士
- 計画した部分:地方中小製造業のDX推進担当ポジションへ転職
- 偶然の部分:地元での偶然の再会から相談を受けたのが契機
- 修正した部分:生成AI(Claude・Cursor)を業務に組み込み、一人DX推進体制を構築
- 持ち越し:「現場が分かるIT人材」としての翻訳能力/MES自社開発の経験
詳細年表(1998-09生〜2026-05現在)
- 1998年9月
-
静岡県磐田市で出生(台風の日)
- 2006年頃
-
『はだしのゲン』を図書館で自発的に読む → 武器職人キャリア戦略の起点
- 2008年冬
-
両親離婚/母方祖父母宅に移住/以降は母の旧姓を名乗る
- 2014年4月
-
工業高校(電子機械科)入学(野球推薦を蹴る)
- 2017年4月
-
大手楽器メーカー入社(グランドピアノ仕上げ課)
- 2019年4月
-
陸上自衛隊入隊(武器科・車両整備MOS)
- 2020年4月
-
サイバー大学IT総合学部AIテクノロジーコース 入学(自衛隊在籍中)
- 2022年1月
-
3等陸曹昇進(入隊2年9ヶ月の最短)
- 2022年3月
-
自衛隊退職(大学卒業計画死守のため)
- 2022年4月
-
SES企業入社(年収100万円ダウン覚悟)
- 2024年1月
-
地方中小製造業(アルミダイカスト)入社/DX推進担当
- 2024年3月
-
サイバー大学卒業(標準4年でIT総合学士取得)
- 2026年5月
-
現在:在職中/製造業DX推進+副業keepmoov/雪工房/本ブログ運営
読者が今日からできる経験の棚卸し(7問チェックリスト)
ここまで読んでくれた人に、今日から手を動かせる棚卸しメソッドを残します。紙でもメモアプリでも、家族や同僚との会話でもいいので、まず7問に答えてみてください。
「強み」ではなく「移し替え可能なスキル」を探す
棚卸しのコツは、「自分の強みは何か」と問わないことです。強みは抽象的すぎて、誰でも「責任感」「コミュニケーション能力」と答えてしまいます。代わりに、「自分が次の仕事に持ち越したい具体的な経験は何か」と問うてください。これだと答えが具体的になります。
紙に書き出す前に、家族や同僚に喋ってみる
もうひとつのコツは、いきなり履歴書フォーマットに書こうとしないこと。最初は家族・友人・同僚に「実は最近、こんなことを考えていて」と喋ってみるのが効きます。喋っている途中で「あれ、自分はこの経験を結構大事に思っていたんだ」と気づく瞬間があります。
- 問1:直近1年で、誰かに「これ教えてくれない?」と言われた瞬間はあったか?それは何の話題だったか?
- 問2:自分の判断で業務手順を変えた経験はあるか?それは何のためで、結果はどうだったか?
- 問3:他業種の人と話していて「それ、うちの業界ではこうやっている」と説明したくなる場面はあるか?
- 問4:過去に辞めた仕事(または辞めたい仕事)について、退職理由を「ネガティブな理由」ではなく「次に何をしたいから」で書き換えられるか?
- 問5:いま自分がやっている仕事と「地続き」で行けそうな次の仕事は、どんな業界・職種・規模か?(業界名と職種名を具体的に書く)
- 問6:その「次の仕事」に応募するために、いま足りないのは「学位」「資格」「ポートフォリオ」のどれか?
- 問7:3か月後にスタートするとしたら、いちばん最初に何を始めるか?(読書/コミュニティ参加/資格申し込み/副業など)
7問全部に答え切れなくてOKです。書けた問だけで、すでに棚卸しの第一歩になっています。


よくある質問(FAQ)
- 高卒で就職して、年収はどう変わりましたか?
-
楽器メーカー時代(18〜20歳)は手取りで月15万円前後、自衛隊時代(20〜23歳)は手取りで月17〜20万円+ボーナス、SES企業時代(23〜25歳)は自衛隊から100万円ダウンしてのスタートで年収約350万円、地方中小製造業のDX推進担当(25歳〜現在)に転職してDX推進担当の役職手当が付き、年収はSES時代から100万円以上回復しました。重要なのは「最低値より、回復ペースを見ること」で、未経験ITは入口で下がっても2〜3年で取り戻せるケースが多いです。
- 自衛隊からIT転職は現実的ですか?
-
現実的ですが、「自衛隊在籍中にIT領域の学習を並行で始めておく」のがほぼ必須です。私の場合はサイバー大学IT総合学部に在籍中に入学し、退職前の段階で大学2年分の単位が取れていました。何も準備せず退職してから学び始めると、空白期間が長くなって不利になります。
- 通信制大学は本当に転職に効きますか?
-
学位そのものよりも、「現役で学び続けている人」というシグナルとして効きます。SES企業の面接で評価されたのも、IT総合学士という肩書きではなく「自衛隊在籍中も大学に通っていた継続性」でした。
- 現場仕事(工場・整備・建設)からIT・DX担当に行けますか?
-
行けますし、むしろいま追い風です。生成AIの普及で「一人で社内システムを立ち上げる」DX担当のニーズが地方中小製造業を中心に増えており、「現場が分かるIT人材」は希少価値が上がっています。ただしいきなりIT企業に転職するより、「現職の現場に居ながらIT領域を1年学ぶ → 社内DX担当に異動 → 必要なら転職」のステップを踏む方が成功率が高いです。
- 振り返って「後悔ポイント」はありますか?
-
強いて言えば、自衛隊在籍中にIT領域の学習開始が「サイバー大学入学=2020年4月」と少し遅かったことです。入隊直後の2019年4月から学習を始めていれば、退職タイミングをもう少し柔軟に選べたと思います。逆に楽器メーカー時代の2年は、若いうちに「現場で品質改善プロセスを1サイクル回す」経験ができたので、後悔は特にありません。
まとめ:高卒からでも、横串でつなげば後から作れる
長い記事を読んでくれてありがとうございました。最後に結論をもう一度。
- 高卒でもキャリアの選択肢は後から作れる。ただし「最初からきれいに見せる」のは無理
- バラバラに見える経歴は、「次の仕事に持ち込めるスキル」を抽出すれば横串が通る
- 自衛隊・通信制大学・現場仕事・ITは、それぞれ独立して評価される
- 経歴の言語化は、紙に書く前に「家族や同僚に喋ってみる」のが効く
- 生成AIの普及で「現場が分かるIT人材」は地方中小製造業DXで希少価値が上がっている
私自身も20代前半までは「自分の経歴に一貫性なんてない」と本気で思っていました。いま振り返れば、横串は最初からあったのではなく、後から自分で言葉にしただけです。
この記事を読んだあなたが、自分の経歴を「バラバラ」ではなく「横串の通った1本のストーリー」として語れる日が来ることを願っています。
関連記事
















参考文献
- 文部科学省「新規学校卒業者の就職離職状況などについて」
- エンジニアになりたい「高卒で就職して後悔したこと」
- プラントオペレーター「工業高校からの進路」
- UZUZコラム「高卒から始めるITキャリア」








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