「高卒のままで、自分の将来は本当に大丈夫なのか」――27歳になった今でも、ふとした瞬間にこの問いが頭をよぎります。
私は2019年に陸上自衛隊に入隊し、2020年4月にサイバー大学IT総合学部AIテクノロジーコースへ並行入学しました。途中で武器学校行きの話が出て卒業計画が崩れかけ、2022年3月に自衛隊を退職。その後もSES企業で働きながら学習を続け、2024年3月にサイバー大学を卒業しました。
この記事では、「自衛隊在職中に通信制大学に行く意味があるのか」「サイバー大学を卒業して本当にITに進めるのか」と検索しているあなたに向けて、自分の体験から見えた学び直しの意味と再現性の限界を、自慢ではなく失敗込みで書きます。
やまと1998年生まれ、現在27歳。工業高校(電子機械科)から大手楽器メーカー→陸上自衛隊→SES企業→地方中小の製造業DX担当と4社を歩いてきました。サイバー大学IT総合学部を在籍中に並行履修して2024年3月に卒業。AWS・DLA G検定・Python3基礎などを取得し、いまは現場でMES(生産管理システム)の自社開発をやっています。
- サイバー大学の卒業そのものはゴールではない。意味は卒業後に何へ接続するかで決まる
- 高卒社会人にとっての効用は ①IT入口 ②職歴補強 ③コンプレックス解消 の3層
- 学歴コンプレックスは「消える」のではなく「薄くなる」が正解。期待値を盛らない方がいい
- 卒業後に残る一番大きな資産は 「学び続ける習慣」
- 自衛隊×サイバー大学の組み合わせは履修登録の段階で勝負が決まる
結論:サイバー大学卒業はゴールではなく「接続点」だった
タイトルの通りの結論ですが、もう少し正確に書くと「サイバー大学の卒業は、それ単体では何も解決しなかった。卒業後に何へ接続するかを入学前に決めていた人だけ、4年が意味を持った」になります。
卒業そのものではなく卒業後に何へつなぐかで意味が決まる
「学位を取れば人生が変わる」というのは、半分本当で半分嘘です。半分本当なのは、応募できる求人の幅が広がり、職務経歴書の見え方が確実に変わること。マッチングアプリでも「高卒」じゃなく「大卒」と書けるようになって、地味に嬉しかったのを覚えています(笑)。半分嘘なのは、学位を取っただけで仕事や人間関係が劇的に好転するわけではないこと。
差を生むのは、卒業時点で「次にどこへ接続するか」が見えているかどうかでした。私の場合、卒業の1年以上前にすでにSES企業から地方中小の製造業(アルミダイカスト)のDX推進担当へ移っていて、しかも自衛隊時代より年収で200万円ほどアップした水準で着地できました。学位はその転職に間接的に効いた程度ですが、それでも「学位を取っている途中」だった事実が信用に転じた感覚はありました。
高卒社会人にとっての3つの効用
サイバー大学に4年通って、私の感覚で「効いた」と言える効用は次の3層です。
| 効用層 | 期待していい度合い | 期待しすぎ注意 |
|---|---|---|
| ①IT入口(未経験ITへの正当な入口) | ◎ 効く | スクール代替にはならない |
| ②職歴補強(在職中の学位取得実績) | ◎ 効く | 学位単体では転職は通らない |
| ③コンプレックス解消 | △ 薄くなる | 完全には消えない |
①と②は確実に効く実感があります。③は、正直に「完全には消えない」と書かないとフェアじゃないと思っています。
自衛隊からサイバー大学を卒業した話
ここから自分史パートに入ります。再現性の限界も含めて、当時の判断を書きます。
2019年入隊・2020年入学・2022年退職・2024年卒業までの時系列
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2017年3月 | 工業高校(電子機械科)卒業 |
| 2017年4月〜2019年3月 | 大手楽器メーカーでグランドピアノ組立(約2年) |
| 2019年4月〜2022年3月 | 陸上自衛隊(武器科・車両整備MOS) |
| 2020年4月 | サイバー大学IT総合学部AIテクノロジーコース 入学(在職中) |
| 2022年1月 | 3等陸曹昇進(入隊2年9ヶ月の最短ペース) |
| 2022年3月 | 自衛隊退職(武器学校行きでサイバー大学卒業計画が崩壊、大学卒業を死守するための戦略修正) |
| 2022年4月〜2024年1月 | SES企業(年収100万円ダウン覚悟。年2回昇給で在籍中に自衛隊水準に肉薄) |
| 2024年1月〜 | 地方中小の製造業(アルミダイカスト)でDX推進担当(自衛隊時代より年収200万円アップで着地) |
| 2024年3月 | サイバー大学卒業(標準4年で学士取得) |
並べて書くとそれっぽく見えますが、当時はどの段階でも「先が見えている」感覚はなかった、というのが正直なところです。



なぜサイバー大学だったか。当時の自分が決めた条件は「①完全オンライン ②AIを学べる」の2つだけでした。この2条件で絞り込んだ結果、その時点で残ったのがサイバー大学しかなく、そのまま入学を決めた――というのが実態です。
動機の方は、もう少し青臭い話でした。「これからはITの時代だ。情報をうまく取り扱える人間が勝てる」というのが、当時の自分の世界観の中心にありました。それも、わりとアニメ寄りの入口で、『ソードアート・オンライン』に出てくる人工知能の「ユイちゃん」みたいなものを作れるようになりたい――そんなことを本気で考えていました。それを通じて、情報処理のスピードを高めて、素早く決断するための材料を自分で集められるようになって、稼げる側に立ちたい、という具体的な像が頭の中にありました。
いま、Claudeのような生成AIが普通に使える時代になってみて、「あー、これが欲しかったのよぉ」と素直に思います。自分でユイちゃんを作ったわけではないですが(笑)、当時描いた「AIで情報処理を加速させる」という方向性の筋は、かなり良かったと感じています。実際、いまは生成AIを業務でも副業でも最大限使い倒していて、そのテーマで記事も書いています。
ただ、ここを強調したいのですが、生成AIを活かせている土台は、大学で学んだ知識です。統計学・経営学・心理学・プロジェクトマネジメント・データベース設計など、4年で広く触れた内容がなかったら、いま生成AIに触れても多分持て余していたと思います。技術の仕組みや理屈にもなんとなくイメージがつくのは、体系立てて学んだからで、これは独学だけでは届きにくい領域だったと、いまの自分は感じています。
通信制大学を選ぶときに大事なのは、絞り込む条件の「数」ではなく「絶対に譲れないか」の鋭さです。完全オンライン/取得学位/在職対応/学費上限/コースのテーマ。このうち自分が一番譲れないものが言語化できれば、候補は自然に1〜2校に絞れます。私の場合は「①完全オンライン ②AIを学べる」の2つで結果的に1校に決まりました。
当時の自分が考えていたこと(一貫性は後付け)



自衛隊在籍3年目に入る前、武器学校行きの話が見えた瞬間、4年で卒業する計画が成り立たないことに気づきました。武器学校は数ヶ月にわたる長期教育で、その間はネット環境に自由にアクセスできない前提です。
サイバー大学は各学期で最低8単位の履修登録が原則として義務付けられていて、しかも動画講義には2週間の出席認定期間があります。逐次開講の科目を取っていれば、2週間ネットに触れない期間が来た瞬間に、その週の配信に対応できなくなり、出席認定が落ちます。武器学校の長期教育期間が来ると、この2週間の壁を構造的に超えられず、卒業計画そのものが崩れる――というのが、当時の現実的な計算でした。
「大学を守るために自衛隊を辞める」という判断は、いま振り返っても自分にとっては英断だったと感じています。
同期からは「お前ならやれる」と、わりと素直に理解されていました。一方で、上官からの理解は薄かったです(笑)。安定した自衛官の身分を捨ててITに飛び込むのは、就職活動で苦労した世代や、辞めても次の職に苦しんだ人を周りに見てきた価値観から見ると、理解しにくい選択だったんだと思います。
ただ、私は別に場当たり的に辞めたわけではありません。退職の1年ほど前から転職エージェントとは定期的にやり取りしていて、「いつ動いてもいい状態」を作ったうえで武器学校の話が来た、という順番でした。歳の近い人には「やめたらそんだけ落ちるのかぁ、でもITなら自衛隊より給料の伸びがいいし、すぐ取り返せるんじゃない?」と言ってもらえたのを覚えています。
結論として、その読みは当たりました。未経験のSES企業に入ったあと、評価もかなり高くしていただけて、しかも年2回昇給のある会社で、1回あたりの昇給幅がめちゃくちゃ大きかった(最初の昇給通知でびびりました 笑)。在籍中に自衛隊の給与水準まで肉薄するところまで戻り、次の地方製造業への転職でさらに200万円ほど上に乗りました。
在職中の学習が崩れかけたとき「辞める/続ける/休学する」の3択を最初から想定しておくと、判断が早くなります。マジでこれは重要で、私は「辞める」を選びましたが、休学制度を使えば残れる道もあったはずです。どれが自分にとって一番リカバリー可能か、入学前に紙に書いてみてください。
なぜ高卒社会人は学び直しを考えるのか
ここで一度、当事者として高卒社会人の学び直しが起きる構造を分解します。これを共有しておかないと、自分史パートが「特殊な人の話」に見えてしまうからです。
同級生比較で「遅れている」と錯覚する構造
高卒で18歳から働き始めると、22歳の同級生(大卒組)が新卒で社会に出てくるタイミングで、自分はすでに4年働いている計算になります。本来であれば4年分のアドバンテージがあるはずなのに、なぜか「自分が遅れている」と錯覚します。
これは比較の軸を「学歴」に置いてしまっているからです。比較を「実労働年数 × 持ち込めるスキル」に置き直すと、高卒組は最初から不利ではないことが分かります。
大卒以上求人の壁(実態と読み替え方)
転職サイトを見ると、応募条件に「大卒以上」と書かれている求人がいまだに多くあります。これを見て「自分は対象外だ」と判断してしまうのが、高卒キャリアでよくある詰まりポイントです。
ですが実際には、「大卒以上または同等の能力を有する者」「学歴不問だが実務経験◯年以上」と読み替え可能な求人は意外と多く、そこに応募して通った経験がある人は私の周りにも複数います。
一次データ:高卒就職者の3年以内離職率
文部科学省の資料(新規学校卒業者の就職離職状況等について)でも示されている通り、高卒就職者の3年以内離職率は4割前後で推移しています。これは「高卒は離職が多い=悪い」という話ではなく、最初の就職先が合わない場合、3年以内に動く人がそれだけ多いということです。
つまり、最初の就職先がゴールではない、というのが統計の側からも言えます。私自身も最初の楽器メーカーを2年で辞めて自衛隊に移っているので、この統計の中の1人です。
サイバー大学を選ぶ意味
通信制大学は他にもあります(放送大学、産業能率大学、ビジネス・ブレークスルー大学など)。その中でサイバー大学を選んだ理由と、選んだことで効いた・効かなかったことを書きます。
完全オンライン × IT総合学部という設計上の特性
サイバー大学の設計上の特徴を、私が4年通って実感した範囲で書き出すと次の通りです。
- 完全オンライン(スクーリング不要):駐屯地からでも履修できた
- オンデマンド型講義:好きな時間に受講できる(深夜でも早朝でも)
- IT総合学部の一本化:教養と専門のバランスが「IT寄り」
- AIテクノロジーコース:機械学習・ディープラーニングの基礎を学べる
- 学費は通信制の中では高め:4年で約294万円
学費の高さは正直ネックですが、いま入学する人にとっては事情がだいぶ変わっています。2026年現在、サイバー大学には働きながらキャンパスで学ぶ学生のための奨学金(社会人奨学金)が用意されていて、条件に合えば学費負担を大きく減らせます。



正直、これは自分の時にやっていてほしかったやつです(笑)。当時は私も自衛隊の給料から学費を自腹で出していたので、いまから受ける人は素直にうらやましい。社会人奨学金の存在は、入学を迷っている社会人にとって判断材料を一段ポジティブに動かす要素なので、必ず一次情報で確認してみてください。
「学歴の証明」より「IT入口」として機能した
卒業して気づいたのは、サイバー大学を卒業したことで得たものは「学歴の証明書」よりも「ITに足を踏み入れた事実」の方だった、ということです。
機械学習の課題でPythonを書いた経験、AWSの基礎を授業で触った経験、データベースの設計を実習でやった経験。これらは、卒業後にSES企業や製造業DX担当として仕事をする上で、最初の足がかりとして確実に効きました。
放送大学・産業能率大学との違いはどこで効いたか
通信制大学の比較については別記事に詳しく書いていますが、結論だけ書くと「学びたいテーマがITに固まっているならサイバー大学、教養全般や心理学・経営学なら他校」という分け方になります。
詳しくは サイバー大学と放送大学はどっちがいい?目的別に学費・カリキュラム比較 を参照してください。


在職中に学ぶ大変さ
ここは正直に書きます。「両立は普通にきつい」が結論です。ただし、準備の質次第で乗り越えられる範囲のきつさでもあります。



自衛隊の演習は数週間〜1ヶ月単位で長くなることもありますが、期間自体は事前にカレンダーで分かっているので、基本動作として履修登録の段階で、確実に演習にぶつかると分かっている時期には科目を厚く取らないようにしていました。
サイバー大学の動画講義には2週間の出席認定期間があり、演習でその期間まるまるネットに触れない状況が来ると、その週の配信に対応できず、出席認定期間を消化できなくなります。なので「演習中に動画を見て小テストを出す」というシチュエーション自体を、計画段階で潰しておくのが基本でした。具体的には、演習が来そうな学期は一斉開講の科目を優先して履修し、逐次開講の科目は勤務の見通しが立つ平時期の学期に回す。
ただ、それでも履修登録時点では読みきれない演習や追加任務が、学期の途中で入ってくることはあります。そういう場合は、その回に対応する動画と小テストを本当にギリギリまで前倒しで潰しておき、演習中はネットに触れなくていい状態にして突入する。半年ほどかけて、この「履修登録で避ける × 避けきれない分は前倒し」の2段構えが自分のリズムとして固まりました。
完璧にこだわっていたら、絶対に続かなかったと思います。小テストは8点満点なら6点か7点で次に進むと決めて、そこに時間を貼り付けない。期末試験も合格点を取って次の科目に進む。この割り切りで進めた結果、卒業時のGPAは3.82でした。サイバー大学は通信制の中ではGPAが取りやすい構造らしく、GPA4の人もいるそうです(それはそれですごいと思います)。
通信制大学の科目運用は「合格点を取って次に進む」を最初から基本動作にしておくと、繁忙期に折れません。サイバー大学のように、期末試験で不合格でも学期内なら無料で再試験を受けられる救済設計がある大学なら、完璧主義を持ち込む必要はありません。100点を狙う科目は1〜2個に絞り、残りは合格点で通す配分で十分です。
履修登録段階での具体的なテクニック(一斉開講・逐次開講の選び方、繁忙期と単位配分の合わせ方など)は、別記事 自衛隊勤務と通信制大学の両立は履修登録で決まる に詳しく書いています。


卒業して何が変わったか
ここが、この記事で一番正直に書きたいパートです。期待を煽らずに、変わったこと・変わらなかったことの両方を書きます。
IT職への転職時に効いた/効かなかったこと
私はサイバー大学を卒業する1年以上前に、SES企業から地方中小の製造業DX担当へ転職しています。つまり、卒業証書を持って転職活動をしたわけではありません。
それでも、転職時の面接で「サイバー大学に在籍中で、来年卒業予定」と書けたのは、明らかに評価に効いていました。学位そのものより、「4年間続けてきた事実」の方が、面接官の信頼を取りに行く材料になった感覚です。
高卒コンプレックスは「消えない、薄くなる」が正解



2024年3月、卒業証書は郵送で届きました。完全オンラインの大学なので、卒業式に物理出席するという感覚もなく、ある日ポストに入っていた、という形です。
ただ、地味な受け取り方だった一方で、普通に感動したのを覚えています(笑)。封筒を開けたときに自分の中で出てきた言葉は、「やっと卒業した。自分、頑張ったなぁ」というシンプルな実感でした。在職中・在自衛隊中・在SES中と環境を変えながら4年かけて取った1枚で、そこに込めたものは自分にしか分からないとしても、自分が一番よく分かっている――そんな感覚です。
その後、職務経歴書に「学士(IT総合学)」と書けるようになり、面接でも転職時の話のきっかけになり、副次的にマッチングアプリで「大卒」と書けるようになったのも普通に嬉しかったです(笑)。
学歴コンプレックスが完全に消えたかと聞かれれば、答えは「消えていない」です。ただ、それまで「高卒」とだけ書いていた職務経歴書に「学士」と書けるようになったとき、自分の中で比較対象が学歴ではなくスキルに移った感触はありました。「消える」のではなく「薄くなる」「気にする頻度が下がる」が、4年通って得た正直な答えです。
「コンプレックスを消す」を入学目的にすると、卒業時にギャップで落ち込みます。「コンプレックスを薄くする」「比較対象を変える」を入学目的にすると、卒業時に納得しやすいです。
学習継続の習慣だけは確実に残った
卒業後、私はサイバー大学の課題に追われる必要がなくなりました。空いた時間で何をしたかというと、結局別の勉強を続けているわけです。
AWS認定の取得(2023年1月、在学中に取得済み)、Python関連の認定(2023年6月)、ディープラーニング検定(2023年5月)、そして卒業後も、地方製造業のDX推進のために自社MES開発のための学習を続けています。
4年かけて身につけた「毎日少しずつ学ぶ習慣」だけは、卒業証書よりも確実に資産として残りました。
ITキャリアへの接続方法
学び直しを「卒業後の接続先」とセットで設計するなら、在学中・卒業直後にやっておくと効くことがあります。
在学中にやっておくと効く3つのこと
- 学位を最後まで取り切る:4年通って卒業した事実そのものが、職務経歴書の「継続力」の証拠になる
- 小さくても動くものを1つ作って公開する:GitHub・Vercel・サーバーレス何でも可。面接で見せられる動くものが1つあるかどうかで、転職活動の進み方が変わる
- 資格は「会話の入り口」として1〜2個:クラウドベンダー認定や基本的なIT資格を、無理のない範囲で。あくまで補強で、主軸ではない
これに加えて、ブログやZenn・Qiitaなどで発信を始めておくと、卒業後の接続先(採用担当・取引先)から見つけてもらえるルートが増えます。



私は大学2年目の2023年1月にAWS Certified Cloud Practitioner、同年5月にDLA Deep Learning for GENERAL、6月にPython 3 エンジニア認定基礎試験を在学中に取得しました。当時は「学位の取得中」「資格で点を稼ぐ」「動くものを作る」を意識して並走させていました。
ただ、いま正直に振り返ると、資格そのものが転職に直接効いた感覚はあまりありません。転職活動の時も、実際に動かして見せた瞬間に話が進んだケースの方が圧倒的に多かったです。資格は「会話の入り口」にはなるけれど、そこ単体で意思決定に効いたという実感はないのが本音です。
動くものというのは、たとえば私の場合、副業屋号(雪工房)で作っている個人事業ポートフォリオサイト、フリーランス向けの作業時間管理アプリ、招待制の動画共有プラットフォームなど。AWS Amplify・GCP Cloud Run・Cloudflare Workersなどを実際に触って動かして公開しているものを、転職活動の時に見せていました。
つまり、在学中に意識して並走させて意味があったのは、学位(土台)と動くもの(実装の証拠)で、資格はその両方を補強する程度の位置づけ、というのが私の実感です。
在学中の学習計画を「学位だけ」で組まないのは前述の通りですが、組み合わせる相手は「資格」より「動くもの(実装)」を優先することをお勧めします。資格は1〜2個あれば会話の入り口として十分。それより、小さくても自分で公開している動くものを1つ持っていた方が、卒業後の接続で確実に効きます。
卒業後すぐ未経験ITに行く場合のリアル
未経験からIT職に進む場合、年収が一旦下がるのは想定しておく必要があります。私の場合、自衛隊からSES企業への転職時に年収100万円ダウンを覚悟しました(実際そうなりました)。
ただし、SES時代の1年10か月で身につけた経験を踏まえて、次の地方製造業に転職した時には自衛隊時代に近い水準まで戻し、その後さらに上げています。「一度下げて、上げ直す」のパターンは、未経験ITに進む場合の現実的な道筋として知っておいて損はありません。
詳しくは サイバー大学 卒業後 転職はできる? に書いています。


接続先の3パターン(SES/自社開発/社内DX)
サイバー大学卒業後のIT接続先は、大きく3パターンに分けられます。
- SES(システムエンジニアリングサービス):未経験向け求人が多い。年収は最初下がりがち。技術力の幅が広がる
- 自社開発企業:採用ハードルは高いが、入れれば安定。ポートフォリオ必須
- 社内DX担当(非IT企業):私が現在いるポジション。製造業・小売業など、IT人材を社内で育てたい企業のニーズが急増中
どれが正解ということはなく、自分の在学中の経験と、転職時点でのスキル蓄積に合わせて選ぶのが現実的です。
通信制大学が向いている人・向いていない人
ここで、4年通った卒業生として、向き不向きを正直に書きます。「全員におすすめ」は明確に違うので、合う/合わないをはっきり分けます。
向き/不向き一覧
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 卒業後の接続先を入学前に決められる | 「とりあえず学歴」と考えている |
| 完璧主義を捨てられる | レポート1本に120点を求める |
| 在職中に毎日30分確保できる | 週末まとめ学習に依存する |
| IT・経営など実学系を学びたい | 教養全般を広く学びたい(→放送大学向き) |
| 年単位の学費を家計と独立して用意できる | 学費を借金で全額賄うつもり |
特に「卒業後の接続先を入学前に決められる」は最重要です。これがない人は、4年の途中で目的を見失います。
迷ったときの判断フロー
入学を迷っているとき、私は次の順で質問することを勧めています。
- 卒業後にやりたい仕事の業界が3つ以下に絞れているか? → No なら、業界研究が先
- 入学前に在職中の繁忙期を1年分カレンダー化したか? → No なら、両立可否を検証してから
- 学費の出どころが家計と独立して決まっているか? → No なら、家計設計が先
- 卒業を「目的」ではなく「通過点」として説明できるか? → No なら、目的を再定義
- 何か小さくても継続している学習・制作・記録の習慣があるか?(毎週でも、月1でも、形式は自由) → No なら、まずハードルの低いところから始めてみる
5つすべて Yes になってからの入学が、4年通って一番後悔が少ない選択だと思います。
高卒社会人視点でのもう少し踏み込んだ向き不向きは サイバー大学は高卒社会人に向いている?卒業生がハマる理由と合わない人を解説 を参照してください。


まとめ:卒業後の接続先を入学前に決めておく
長くなったので、改めて結論を整理します。
サイバー大学を卒業したことで、私は「IT職に進む正当な入口」と「履歴書に学士を書ける肩書き」を手に入れました。同時に、4年通って残った一番大きな資産は「学び続ける習慣」でした。
一方で、卒業によって高卒コンプレックスが完全に消えたかと聞かれれば、正直に「薄くなった」が答えです。消えるものを期待して入学すると、入学後に苦しくなります。
大事なのは、入学前に「卒業後に何へ接続するか」を決めておくこと。これだけで、4年の重さと意味が大きく変わります。
私自身の自衛隊からの遍歴を含めた4社経験の全体像は 高卒から自衛隊・大学・IT・製造業DXへ|4社経験を一本につなぐ自分史 で詳しく書いています。本記事と合わせて読むと、「自衛隊×サイバー大学」の判断が、より具体的に見えてくると思います。





自衛隊出身の方への補足:退職後のキャリア支援については 防衛省「自衛官の再就職支援」 も参考になります。サイバー大学だけが選択肢ではない、という前提で読んでもらえると幸いです。
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