紙の日報。手書きの段取り表。人によって書き方がバラバラのExcel。
製造の現場って、だいたいこうですよね。
「AIがすごい」と聞いても、正直ピンとこない。
チャットで文章は作れても、目の前の現場がそれで楽になる感じがしない。
僕も同じでした。
いまは地方中小の製造業(アルミダイカスト)でDX推進をやっています。
でも、入った当初の現場は「データがそもそも無い」状態だったんです。
この記事は、その現場を Claude CodeとChatGPTで少しずつデータ化していった、地味な実録 です。
ツールの紹介記事ではありません。「現場で実際にどう使ったか」「どこで詰まったか」を、できるだけそのまま書きます。
やまと現場あがりのDX担当です。大手楽器メーカーでグランドピアノを組み、陸上自衛隊で車両整備、SES企業でエンジニアを経て、いまは地方中小の製造業(アルミダイカスト)でDXをやっています。働きながらサイバー大学(通信制)を卒業しました。ずっと「現場」側にいた人間です。
現場のAI活用で大事なのは、すごい道具を選ぶことじゃありませんでした。
- そもそも集計できていない作業を「データになる形」にする
- 現場が使える見た目(UI/UX)を、先にモックアップで固めてから作る
- 公式のプラグインやSkill(Excel・Word・PPTも作れる)を使い、足りない分だけ自作する
道具より、「現場に合わせる順番」。これが効きました。
そもそも、現場は「集計できていない」
配属されて最初に分かったのは、改善する以前の問題でした。
段取りの記録、日報、品質の記録。
どれも紙か、人ごとに様式の違うExcel。
数字を出したくても、集めるところからできていない。
「不良が多い気がする」「この段取りは時間がかかる気がする」——全部“気がする”で止まっていました。
正直に言うと、立派なDXツールを入れる以前に、“データがそもそも無い”。だから何も語れない。ここからのスタートでした。
何をAIにやらせたか(Claude Code+ChatGPTで「データ化」)
やったことは、派手じゃありません。
- 日報を「入力する画面」と「貯まるデータ」に分ける
- バラバラのExcelを、集計できる形に整理し直す(正規化して、マスターを1つにまとめる)
- 品質の記録を、あとから数えられる形で残す
- 手順書を、更新しやすい形にしておく
こういう “作業の翻訳” を、Claude CodeとChatGPTに手伝ってもらいました。
文章の下書きや、考えを整理するのはChatGPT。
実際に動く仕組みを組むところはClaude Code。
ざっくり、この使い分けです。
(「AIに任せる前に、まず作業を言葉にする」という前段の話は、別記事で詳しく書いています → 製造業DX担当が未経験から最初にやった「作業の言語化」)
プラグインは「公式」をしっかり使う(足りない分は自作)
よく「Claudeのおすすめプラグインは?」と聞かれます。
僕は公式のプラグインを普通に使っています。Anthropicが出している公式のプラグイン集から、デザイン系をはじめ色々入れています。
とくに重宝しているのが、ExcelやWord、PowerPointを作れる公式のSkill(document-skills)。集計表や手順書、報告資料を、Claude Codeに頼んで形にしてもらえます。現場のデータ化と相性が抜群でした。
そのうえで、うちの現場にしか無い業務は、自分用のSkillを作って足す。公式で足りるところは公式、足りないところだけ自作。そういう使い分けです。
どんな公式プラグインがあるか知りたい人は Claude Code プラグインおすすめ12選 を。コードを書く以外の用途なら Cowork という選択肢 もあります。AIに自動で走らせる使い方を増やすと、こんどは 課金の仕組み が関わってくるので、そこも頭の片隅に。
いちばんの壁は「現場が使えない」=UI/UX
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
動くものは、わりとすぐ作れます。
本当の壁は、そこじゃなかった。
現場の人と上司が、使ってくれないんです。
ボタンがどこか分からない。入力が面倒。見た目がとっつきにくい。
どれだけ中身が正しくても、「使いにくい」と現場では一発で終わります。
何度かやって分かったのは、いきなり完成品を作っちゃダメだということ。
先に、見た目だけのモックアップ(HTML/CSSの画面サンプル)をAIに出させる。
それを現場に見せて、「ここ押しにくい」「この順番が逆」と直してもらう。
納得してもらってから、中身を作る。
この順番にしてから、ようやく現場で使われるようになりました。
やりたいこと(集計したい数字)を、まず決める。
見た目だけのモックアップを、AIに作らせる。
現場に見せて、その場で直してもらう。
合意できてから、中身(データ処理)を作る。
ここは、AIに丸投げできない部分でもあります。
「何を集計したいか」「現場が使える形か」を決めるのは、現場を知っている人間の仕事。
AIは作る速度を上げてくれるけど、“何を作るべきか”までは教えてくれません。
使う前と後で、何が変わったか
派手な数字は出しません(正直、まだ出せる段階でもない)。
でも、いちばん大きかったのは——“気がする”が”数字”になったことです。
そもそもできていなかった集計が、できるようになった。
「この段取りは実際これだけかかっている」「不良はこの工程に多い」。
そんなふうに、数字で話せるようになったんです。
判断が、勘から事実に変わった。
現場にとっては、これがかなり大きいんです。
- 紙やバラバラのExcelに「これ無駄だな」と気づいている
- 完璧じゃなくていいから、まず動かしてみたい
- 最初から完成された立派なシステムを期待している
- 現場を見ずに、ツールだけ入れれば変わると思っている
この動き方は「現場からIT・DXへ」の入口になる
ここまで読んで、「自分の現場でもやれそう」と思えたなら、その感覚は大事にしていいと思います。
現場を知っていて、かつ「データにする」「使ってもらう形にする」が分かる。
そういう人は、製造業のDXでいちばん足りていない人材です。
僕自身、現場あがりからこの動き方を覚えて、仕事の幅が変わりました。
この手応えを”仕事”や転職に変えたい人は、こちらに現実的なルートをまとめています。
現場経験は、そのまま武器になる


まとめ
- 現場のAI活用は、道具選びより「順番」
- まず”データになる形”にする(集計できていない、が出発点)
- 現場が使うには、モックアップを先に出して、見た目から合意する
- プラグインは公式をしっかり使い、現場固有の部分だけ自作で足す
すごいことはしていません。地味な翻訳作業の積み重ねです。
でも、それが現場では一番効きました。
よくある質問
同じ「現場あがり」で製造業の現場SE(社内SE・社内DX)を目指す仲間が集まるコミュニティを、これから作ります。今は第1期の創設メンバーを募集中。会費はかかりません。
まずは、どんな場かのぞくだけでも














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