「社会人になって何年も経つのに、まだ実家にいる」
そう思うと、年齢だけで「そろそろ出るべきか」を決めたくなります。ですが、実家にいる理由も、家に入れているお金も、人によってかなり違います。
この記事では、実家暮らしを続けるか迷っている社会人に向けて、年齢ではなく「お金・目的・期限」で考える3つの判断軸を整理します。
やまと私は工業高校を卒業してから、就職や転職に合わせて住む場所を変えてきました。住まいは年齢で決めるものではなく、その時の仕事・お金・家族との関係で選ぶものだと考えています。
- 実家暮らしに一律の年齢制限はない。まずは生活の中身を見る
- 首都圏の調査では、20代の37.7%が実家暮らしと回答している
- 続けるなら、浮いたお金を貯金・返済・学びに回せているか確認する
- 出るなら、通勤・仕事・家庭環境など「出た先で変えたいこと」を言葉にする
- 最後に期限を決める。目的と期限があれば、周囲の言葉に振り回されにくい
まずは実家暮らしの割合と家計データを確認し、そのあとで3つの軸を順番に見ていきます。
これから入社する人や、入社直後で「一人暮らしを始めるか」を決める段階の人は、手取りベースの家計比較をまとめた別記事も参考になります。


首都圏では、20代の実家暮らしは珍しくない
「周りはもう一人暮らししてるのに」と感じている人ほど、ここを先に見ておいてほしいんです。
不動産情報サービスのLIFULL HOME’Sが2025年に行った調査では、20代の37.7%が実家暮らしでした。同じ調査での一人暮らしの割合を上回っています。
さらに30〜40代でも実家暮らしは26.4%。約4人に1人です。
理由の1位も、年代を問わずお金でした。20代では「貯金をしたいから」が48.6%。半数近くが、意図的に実家にいることを選んでいるという結果なんですよね。
この調査は不動産情報サービス会社の自社調査で、対象は東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県に住む有職者4,943人です。全国平均ではありませんし、インターネット調査なので回答者の偏りもあります。「首都圏で働く20代では」という限定つきで読んでください。
この数字だけで「実家暮らしを続けていい」と決めることはできません。ただ、少なくとも首都圏の20代では、「ごく珍しい暮らし方」とは言えません。年齢だけで焦る必要はない、という材料にはなります。
数字を確認できたので、次に自分の家計を見ていきます。
実家暮らしで浮くお金をどう見るか
判断軸に入る前に、一人暮らしにかかる支出の目安を見ておきます。
総務省の家計調査(2025年平均・単身世帯詳細結果表)では、34歳以下・単身・勤労者世帯の1か月の消費支出は、平均179,225円でした。ただし、これは一人暮らし世帯の平均であり、実家暮らしとの差額そのものではありません。
| 費目 | 月額 |
|---|---|
| 食料 | 41,938円 |
| 住居 | 34,489円 |
| 光熱・水道 | 8,147円 |
| 家具・家事用品 | 5,806円 |
| 被服及び履物 | 6,360円 |
| 保健医療 | 6,956円 |
| 交通・通信 | 21,172円 |
| 教育 | 162円 |
| 教養娯楽 | 24,659円 |
| その他(交際費など) | 29,535円 |
| 消費支出 合計 | 179,225円 |
この表では、住居費34,489円と光熱・水道8,147円だけで月42,636円です。ここに食費の違いも加わります。一方、実家に入れる生活費や地域の家賃で差は変わります。月4〜6万円は一律の相場ではなく、自分の家計を考えるための目安として見てください。
仮に毎月4〜6万円を残せるなら、1年で48〜72万円、3年で144〜216万円です。ただし、実際の差額は「一人暮らしをした場合の支出」と「実家に入れている生活費」を比べて計算します。
- 34歳以下・単身・勤労者世帯は、集計対象がわずか65世帯。総務省の統計としては小さいサンプルなので、年ごとの振れが大きく「水準の目安」として見るべき数字です
- 全国平均なので、都市部の家賃相場とはかなり離れます。東京23区で家賃34,489円の物件は、かなり限られます
大事なのは平均額ではなく、自分が毎月いくら残せているかです。家に入れる生活費も含め、1年前との残高差で確認しましょう。
そのお金が何に変わっているかを確認するところから、3つの判断軸に入ります。
判断軸① 浮いたお金は積み上がっているか
いちばん厳しくて、いちばん大事な軸です。
実家暮らしの価値は、浮いたお金が形になって残っているかどうかで決まります。
- 貯金が増えている
- 投資に回っている
- 学費や資格、スキルに変わっている
- 借金や奨学金が減っている
このどれかに当てはまるなら、実家暮らしのメリットを目的に使えていると考えられます。
反対に、家計上は余裕があるはずなのに貯金残高が1年前とほぼ同じなら、目的が曖昧なまま固定費の低さに慣れているかもしれません。
これは責める話ではなく、家計の確認です。使い道を先に決めないと、浮いたお金は日々の支出に混ざりやすいからです。
まず、通帳か家計アプリで1年前の残高と今の残高を比べます。想定より増えていなければ、固定費と先取り額を見直す合図です。
お金の置き場所を先に決めておく考え方は、こちらで詳しく書いています。


「貯金」以外に積み上げる選択肢もある
さっきの4つのうち「学費や資格、スキルに変わっている」は、他の3つと少し性質が違います。貯金や返済が「お金の置き場所」の話なのに対して、これだけはお金を別のものに変える話だからです。
そして、こういう選択をするなら実家にいるうちのほうが動きやすいのは確かです。一人暮らしを始めてから学び直そうとすると、家賃を払いながら学費も出すことになります。同じ勉強でも難易度が変わるんですよね。
どちらが正解というものではありません。貯金は金額で成果が見えますが、学費や資格への支出は成果が出るまで時間がかかります。家計に余白がある時期だからこそ、無理のない範囲で選べる投資です。
ただし、これは全員におすすめできる話ではありません。いま仕事が詰まっていて余力がない時期に学びを足すと、どちらも中途半端になります。向くのは「時間はあるけど、この先どうするか決まっていない」人。向かないのは「目の前の仕事で手一杯」の人です。
選択肢の中身は、転職・通信制大学・実務スキルの3ルートに整理した別記事に書いています。この記事を読み終えてから、進路が決まっていなければ覗いてみてください。


判断軸② 出るなら、何のために出るのか
次は、逆側から見ます。
「そろそろ出ないと」と思っている人に聞きたいのは、出た先で何がしたいかです。
答えが「自立したいから」「そろそろ年齢的に」だけなら、家賃・通勤時間・生活の変化を一度書き出してみてください。世間体だけで固定費を増やすより、出た先で得たいものを明確にしたほうが後悔しにくいからです。
一方で、こういう理由があるなら、お金の計算を多少無視してでも出る価値があります。
- 通勤時間が長すぎて、可処分時間が消えている(片道90分=往復3時間なら、年240日で約720時間。資格が1つ取れる時間です)
- 家にいると勉強や副業に集中できない(家族の生活音・生活リズムのズレ)
- 転職や結婚を見据え、家事や家計を自分で回す経験を積みたい
- 親との関係が、自分の判断を鈍らせている
最後の項目は特に大事です。家賃が浮いていても、進路の話が毎回もめたり、自分の決定に親の意見が強く入りすぎたりするなら、お金以外のコストを払っていることになります。



私も就職や転職で住む場所が変わるたび、家賃だけでなく、通勤時間や勉強に使える時間も変わりました。住居費だけなら実家が有利でも、往復の通勤に何時間もかかるなら判断は変わります。
判断軸①がお金の話なら、②は時間と意思決定の自由の話です。この2つを天秤にかけてください。
判断軸③ 期限を決めているか
3つ目は、続ける期間を自分で決めているかです。
迷いが大きくなりやすいのは、金額や年齢よりも、「いつまで続けるのか自分でも分からない」状態になったときです。
だから、続けると決めたなら期限とセットにします。
- 「貯金が300万円になるまで」
- 「転職が決まって、勤務地が確定するまで」
- 「資格を取り終える来年3月まで」
条件でも日付でもかまいません。言葉にして決めておく。それだけで、実家暮らしは「なんとなくの現状維持」から「選んでいる期間」に変わります。
期限を決めておくと、周囲に何か言われても、自分の考えを短く説明しやすくなります。
「実家暮らし=甘え」と言われたときの考え方
ここは、検索してきた人の多くが本当に気にしている部分だと思うので、はっきり書きます。
目的と期限があるなら、それは甘えではありません。
甘えかどうかを分けるのは、実家にいること自体ではなく、「自分の生活について、自分で判断しているか」です。
生活費を分担し、目的と期限を決めているなら、住んでいる場所だけで甘えとは言い切れません。一人暮らしでも、家賃で余裕がなくなり、次の準備が止まることはあります。住まい方の名前だけでは、自立は測れません。
言い返す必要はありません。「貯金の目標があって、それまでは実家にいる」と短く説明できれば、それ以上の言い合いをしなくて済みます。
ただし、家に生活費を入れていない場合は、家計の分担を別に話し合う必要があります。住まい方の判断と、家族内の負担は分けて考えましょう。
金額の相場をネットで探すと「3〜4万円」という数字がよく出てきますが、出どころのはっきりした調査が見当たらなかったので、この記事では相場を示しません。家の状況に応じて、親と直接決めてください。光熱費や食費として実費ベースで話すのが、いちばん揉めにくいです。
3つの判断軸を整理する
3つとも完璧にそろえる必要はありません。「No」になった場所を、次に見直す項目として使ってください。
| 判断軸 | Yesなら | Noなら |
|---|---|---|
| ①浮いたお金が積み上がっているか | 続ける理由がある | 使い道を決め直す |
| ②出る目的が言えるか | 出る準備を始める | 条件を整理する |
| ③期限を決めているか | 選んで続けている | 日付か条件を決める |
- 3つともYesなら、実家暮らしを自分で選べています
- ①だけYesなら、続けていいけれど期限を決めましょう
- 全部Noなら、お金の流れと期限のどちらか一つから決めます
今日できる3ステップ
1年前よりいくら増えたかを確認します。想定より少なければ、使い道と先取り額を見直します。
「通勤を短くしたい」「家事を自分で回したい」など、出た先で変えたいことを書きます。言葉にできないときは、急いで契約せず条件を整理します。
「300万円貯まるまで」でもかまいません。期限があると、現状維持ではなく、自分で選んでいる期間に変わります。
3つを整理できれば、「まだ実家なの」と言われても、自分の考えを短く説明できます。
よくある質問(FAQ)
この記事のまとめ
- 実家暮らしに正解の年齢はない。決まるのは目的と期限
- 首都圏の20代では37.7%が実家暮らし。少数派ではない
- 34歳以下・単身勤労者の平均では、住居費と光熱・水道で月42,636円。実家との差額は家計ごとに計算する
- その差額が積み上がっているかをまず確認する
- 目的と期限が言えるなら、それは甘えではなく戦略
住む場所は、仕事と暮らしを支える手段です。年齢ではなく、自分の目的から決めてください。
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