最終更新:2026年5月16日
「給料は上がったのに、なぜか生活がラクにならない」──多くの会社員が抱くこの感覚は、気のせいではありません。2026年5月、所得税の累進税率区分や給与所得控除の上限など「インフレ連動が不十分な部分」が積み重なり、実質2兆円規模の「隠れ増税」が進行していると、日経新聞が報じています。
これは専門用語で「ブラケットクリープ」と呼ばれる現象です。名目給与が上がるたびに、より高い税率区分へ押し上げられてしまう仕組みで、物価上昇局面では家計の手取りを静かに削っていきます。
とはいえ、ここで立ち止まって考えたいのは「税の使途」と「制度の活用余地」です。日本の歳出の3割強は社会保障費。私たちが日々受けている医療・年金・教育・公共インフラの恩恵は、税金を原資にした「リターン」として確かに戻ってきています。だからこそ、いま私たちにできる現実的な選択は、使える制度を最大限活用して、給付・控除・非課税枠を取りに行く側に回ることです。
- 「ステルス増税2兆円」の中身(所得税区分・基礎控除・給与所得控除の3要素)
- その税金が実際どこに使われているのか(財務省 一般会計ベースで歳出を可視化)
- 私たちが受けている「税金リターン」5項目(医療・年金・教育・インフラ・治安)
- NISA・iDeCo・控除・ふるさと納税で取り戻せる金額の年収別シミュレーション
- 働き方・学び直しで「税金以上のリターン」を取りに行く具体案
注意:本記事は2026年5月16日時点の情報です。「2兆円」の試算はエコノミストの公表値(日経記事中)に基づき、税率区分・控除額は国税庁タックスアンサー(リンク先で随時更新)の確定情報を引用しています。一般会計予算の数字は財務省「令和7年度予算」ベース、最新は財務省 予算ページでご確認ください。
やまと新NISAを2年継続中、ふるさと納税・iDeCo・医療費控除をフル活用しながらしごとえらびを運営しているやまとです。今回は「税の使途を冷静に確認する」と「制度を取りにいく側に回る」の2軸で整理しました。
- 隠れ増税の正体はブラケットクリープ。腹を立てる前に「税の使途」を見るのが先
- 税金の3割強は社会保障費。私たちが受けている受益は2兆円規模をはるかに超える
- 給与所得者が「取り返す」最短ルートはNISA+iDeCo+控除+ふるさと納税の4本柱
- 副業・学び直しで「税金以上のリターン」を取りにいくのがしごとえらびの推奨
- 政府批判よりも、制度を取りにいく側に回ることがもっとも再現性が高い
「隠れ増税」とは?まずは事実をフラットに確認
「ステルス増税」「隠れ増税」と呼ばれる現象の正体は、経済学でいうブラケットクリープ(bracket creep)です。インフレで名目給与が上がるほど、累進課税の高い区分に押し上げられて税負担率が上がる──この構造を、まずは事実として確認しておきます。
ブラケットクリープの仕組み(給料3倍シナリオで考える)
大卒初任給は1974年に約8万円、2024年に約25万円。およそ50年で3倍になりました。仮にこのペースで給与が伸び続けると、見た目の年収は数十年単位で大きく上がります。
ところが、所得税の税率区分や各種控除の金額が固定されたままだと、名目給与が上がるたびに自動的により高い税率が適用される。たとえば年収500万円から600万円へ上がったとして、物価も同じ比率で上がっていれば実質購買力は変わっていないのに、税負担だけ重くなるという現象が起きます。
日本が「インフレ調整」していないポイントは3つ
正確に整理すると、令和7年分(2025年分)の税制改正で基礎控除と最低給与所得控除は引き上げ済みです。一方で、現役世代の手取りに直結する次のポイントは依然としてインフレ連動が不十分な状態にあります。
- 所得税の累進税率区分(5%・10%・20%・23%・33%・40%・45%の境目)が長年据え置き
- 給与所得控除の上限額(年収850万円超で195万円・子育て介護世帯は年収1,000万円超で210万円)が据え置き
- 基礎控除の中・高所得層への効果が限定的(低所得層は95万円まで拡大したが、合計所得655万円超では58万円どまり)
これらの調整不足が積み重なった結果、エコノミストの試算では年間およそ2兆円が「気づかないうちに増えた税負担」になっている、というのが今回のニュースの中身です。
2兆円のステルス増税、内訳を冷静に見る
「どこが据え置き」で「どこが引き上げ済み」なのかを、表で整理してみます。数字はすべて国税庁タックスアンサーの最新値です。
所得税の累進税率区分(7段階)
| 課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 195万円超〜330万円以下 | 10% | 97,500円 |
| 330万円超〜695万円以下 | 20% | 427,500円 |
| 695万円超〜900万円以下 | 23% | 636,000円 |
| 900万円超〜1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
| 1,800万円超〜4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
| 4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
この境目は2007年の改正からほぼ変わっていません。物価上昇が続けば続くほど、「同じ実質購買力なのに上の税率区分に押し上げられる人」が増えていきます。
給与所得控除:最低額は引き上げ済み、上限は据え置き
給与所得控除は「会社員の必要経費に相当する」概算控除です。令和7年分から最低控除額が55万円→65万円に引き上げられ、計算式の起点となる年収帯も190万円までに広がりました。低所得層には改善方向の改正です。
一方で年収850万円超で控除額が195万円に頭打ちになる「上限ライン」は据え置きのまま(23歳未満の扶養親族がいるなどの子育て・介護世帯は年収1,000万円超で上限210万円の特例あり)。物価上昇局面では、この上限に到達する人が増えるほど、実質的な負担増になっていきます。詳細は国税庁 No.1410 給与所得控除を確認してください。
基礎控除:令和7年分から段階的に引き上げ(中・高所得層は限定的)
基礎控除は令和7年分(2025年分)の改正で合計所得金額のレンジごとに段階的に引き上げられました。「48万円据え置き」ではありません。最新の3区分は次の通りです。
| 合計所得金額 | 令和6年分以前 | 令和7年・8年分 | 令和9年分以後 |
|---|---|---|---|
| 132万円以下 | 48万円 | 95万円 | 95万円 |
| 132万円超〜336万円以下 | 48万円 | 88万円 | 58万円 |
| 336万円超〜489万円以下 | 48万円 | 68万円 | 58万円 |
| 489万円超〜655万円以下 | 48万円 | 63万円 | 58万円 |
| 655万円超〜2,350万円以下 | 48万円 | 58万円 | 58万円 |
| 2,350万円超〜2,400万円以下 | 48万円 | 48万円 | 48万円 |
| 2,400万円超〜2,450万円以下 | 32万円 | 32万円 | 32万円 |
| 2,450万円超〜2,500万円以下 | 16万円 | 16万円 | 16万円 |
| 2,500万円超 | 0円 | 0円 | 0円 |
ポイントは低所得層(132万円以下)は48万円→95万円に大きく増額された一方、合計所得655万円超の中・高所得層では58万円どまりで増額幅が10万円に限定されている点です。中高所得世帯にとっては「物価上昇分を十分にカバーしているとは言えない」のが現状です。
- 据え置き:所得税の累進税率区分(7段階)の境目
- 据え置き:給与所得控除の上限額(年収850万円超で195万円・子育て介護世帯は1,000万円超で210万円)
- 引き上げ済み(令和7年分〜):給与所得控除の最低額(55万→65万)
- 引き上げ済み(令和7年分〜):基礎控除(低所得層は48万→95万、中・高所得層は48万→58万)
- 引き上げの効果は低所得層に厚く、中・高所得層には限定的。エコノミストの2兆円試算は、これらの改正を織り込んだ上でなお「インフレ調整が不十分」とする値
ここからが本題:その税金、どこに使われている?
増税の話が出ると感情的になりがちですが、ここで一度立ち止まって「その税金が実際どこに使われているのか」を確認しておくと、見え方が変わってきます。財務省の予算ページから、令和7年度(2025年度)一般会計の歳出ベースで整理してみます。
令和7年度 一般会計歳出の内訳
| 主要費目 | 金額(兆円) | 歳出に占める割合 |
|---|---|---|
| 社会保障関係費 | 約38.3 | 約33.2% |
| 国債費(元利払い) | 約28.2 | 約24.5% |
| 地方交付税交付金等 | 約18.8 | 約16.4% |
| 公共事業関係費 | 約6.1 | 約5.3% |
| 文教及び科学振興費 | 約5.7 | 約4.9% |
| 防衛関係費 | 約8.7 | 約7.5% |
| その他 | 約9.4 | 約8.2% |
なぜ「社会保障費」が3割強を占めるのか
歳出のトップは社会保障関係費の約38兆円。高齢化の進行に伴い、年金・医療・介護への支出が継続的に拡大しているのが背景です。これは「現役世代から取り上げて消えている」のではなく、国民皆保険・公的年金・介護保険といった世界的にも手厚いセーフティネットを維持するコストとして支出されています。
国債費・地方交付税・教育・公共事業の役割
2番目に大きい国債費(約28兆円)は過去の借金返済。3番目の地方交付税交付金(約19兆円)は、人口や産業構造の偏りを補正して全国どこでも一定水準の公共サービスを受けられるようにする再配分原資です。文教・科学振興費は義務教育や研究開発に、公共事業関係費は道路・橋・上下水道といったインフラ維持に使われます。



こうして並べてみると、「2兆円のステルス増税」よりも「38兆円の社会保障費」のスケールが桁違いに大きいことがわかります。2兆円の増税より、3割強の社会保障費の方が桁違いに大きな「家計へのリターン」になっている──まずはこの事実を冷静に受け止めるところから始めたいですね。
私たちが受けている「税金リターン」を可視化
社会保障費38兆円が、現実にはどんな形で家計に戻ってきているのか。代表的な5項目を整理してみます。
①高額療養費制度:医療費の自己負担に天井がある
たとえば月100万円の治療費がかかっても、年収500万円世帯なら自己負担は月9万円程度に抑えられます。
これは高額療養費制度という社会保障があるからこそ。
2026年8月からの改正内容は、別記事「高額療養費制度はこう変わる」でまとめています。


②国民皆保険・年金・介護保険
窓口負担原則3割で誰でも医療にアクセスできるのは、世界的に見ても手厚い仕組み。
米国のように医療費破産が起こりにくい社会構造は、税と保険料で支えられています。
公的年金も、長寿リスクをカバーする終身給付で、民間の個人年金ではコスト的に再現が難しい設計です。
③義務教育・公共インフラ・治安
義務教育の9年間で1人あたり数百万円の教育コストが公費負担されています。
道路・橋・上下水道といったインフラ、警察・消防・防衛による治安サービスも、すべて税金が原資。
普段は気づかない「当たり前」が、税金で維持されている部分です。
- 医療:窓口負担3割+高額療養費の月額上限で大病でも家計が破綻しにくい
- 年金:終身給付の老後収入ベース。民間ではコスト的に再現が難しい
- 介護:介護保険の1〜3割負担で長期介護のリスクを共助
- 教育:義務教育9年と高校無償化の累計数百万円の教育コストが公費負担
- インフラ・治安:道路・上下水道・警察・消防・防衛の「当たり前」を支える



「払っている税額」と「受けているサービスの値段」を並べると、多くの家庭で「払う側」より「受け取る側」の金額の方が大きいのが現実です。だからこそ、増税の話に振り回されず、制度を使い切る側に回ることがリターンを最大化する一番の近道になります。
制度活用①|給与所得者がまず押さえる NISA・iDeCo
ここからは、給与所得者が「取り返せる」具体的な制度の話に入ります。
最初の2本柱は、誰でも今すぐ着手できる新NISAとiDeCoです。
新NISA:非課税枠1,800万円を埋める
新NISAは2024年から始まり、つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円=年間360万円、生涯累計1,800万円までの運用益が非課税になります。本来かかる20.315%の譲渡所得税・配当所得税が完全に免除される、給与所得者にとって最大級の制度です。詳細は金融庁 NISA特設サイトで。子ども向けの新NISA「こどもNISA」も2027年開始予定で、家族単位での非課税枠拡大に直結します。


iDeCo:掛金が全額所得控除になる強力な節税
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛金が全額所得控除になる点でNISAとは別次元の節税効果があります。会社員(企業年金なし)の上限は月2.3万円、年27.6万円。所得税率20%・住民税10%の人なら、年8万円超の節税です。公式情報はiDeCo公式(国民年金基金連合会)を参照。
年収別シミュレーション(NISA+iDeCo満額活用)
| 年収 | iDeCo年27.6万円活用時の節税額 | NISAの非課税効果(運用益5%・10年) |
|---|---|---|
| 400万円 | 約4.1万円/年 | 10年後の差分 約30〜50万円 |
| 600万円 | 約5.5万円/年 | 10年後の差分 約60〜90万円 |
| 800万円 | 約8.3万円/年 | 10年後の差分 約100〜140万円 |



NISAとiDeCoは、ステルス増税で削られる分を合法的かつ最短で取り返せる仕組みです。投資なのでリスクはありますが、長期・分散・低コストの3点を守れば、過去のデータ上はインフレに勝てる確率が高い設計になっています。
制度活用②|控除を最大化する
NISA・iDeCoのほかにも、給与所得者が使える控除は意外と多くあります。年末調整や確定申告で取りこぼしている人が多い部分を、4ステップで整理しました。
給与所得控除は自動適用ですが、年収による上限があります。業務に必要な研修費・資格取得費・通勤費の自己負担分などが給与所得控除額の1/2を超えると、確定申告で特定支出控除として追加で差し引けます。会社員でも使える、知名度の低い節税口です。
配偶者の年収・年齢・同居要件を満たせば配偶者控除(最大38万円)。16歳以上の扶養親族がいれば扶養控除(38〜63万円)。年末調整で申告漏れがあると、確定申告で5年さかのぼって還付請求できます。
給与天引きされる社会保険料はもちろん、家族分の国民年金・国民健康保険料を代わりに支払った場合も控除対象になります。iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」として全額所得控除。前章のシミュレーションはここで効きます。
家族合算で年10万円超(総所得200万円未満なら総所得の5%超)の医療費があれば医療費控除(上限200万円)。健康診査や予防接種など「健康の保持増進への取組」を行っている人が特定一般用医薬品等(スイッチOTC薬を含む)を年1.2万円超購入していれば、セルフメディケーション税制(上限8.8万円・通常の医療費控除とどちらか選択)。詳細は国税庁 No.1120を確認してください。
- 特定支出控除(研修・資格・書籍)の合計を年末に集計する習慣を作る
- 配偶者・扶養控除は5年さかのぼって還付請求可能
- 家族の国民年金・国保を肩代わりしたら必ず控除に算入
- 医療費は家族合算で年10万円超から控除対象(総所得200万円未満なら5%超)
制度活用③|ふるさと納税と「働き方を変える」選択肢
「使える制度を最大限活用する」という方針を1段階引き上げるなら、ふるさと納税と「働き方そのものを変える」選択肢が候補になります。3パターンを並べてみます。
ふるさと納税:住民税の使い道を自分で選ぶ
ふるさと納税は実質「住民税の振替」です。
本来の住民税を別の自治体に寄附することで、返礼品+寄附額の使い道指定という形でリターンを増やせます。
年収600万円・独身なら年間上限は約7.7万円。
参考:https://furu-sato.com/magazine/36205/
返礼品の還元率は概ね3割なので、実質2,000円の自己負担で2万円相当の品を受け取れる計算になります。
副業+青色申告特別控除65万円
副業を始めて開業届・青色申告を出すと、青色申告特別控除65万円(e-Tax+複式簿記の条件あり)を使えます。副業利益から65万円を引いてから所得税を計算できるため、給与所得しかない人と比べて手取りが大きく変わります。副業の継続率データはこちらの記事でまとめています。


マイクロ法人という選択肢(両面提示)
副業の利益が一定規模を超えると、個人事業ではなくマイクロ法人化が視野に入ります。社会保険の最適化や所得分散ができる一方、設立コスト・赤字でも発生する法人住民税均等割(年7万円〜)・申告コストといったデメリットもあります。「合う人と合わない人がはっきり分かれる制度」なので、税理士に試算を依頼してから判断するのが安全です。
- ①給与所得+NISA/iDeCoのみ
-
取りこぼしの少ない標準ルート。誰でも今すぐ着手できる
- ②給与所得+副業(青色申告)
-
青色控除65万円+経費計上で実質手取りが大きく変わる。副業に時間を割ける人向け
- ③給与所得+マイクロ法人
-
節税効果は最大級だが運用コストも最大。利益が継続的に出てから検討



どのパターンを選ぶかは「使える時間・リスク許容度・本業のキャリア戦略」で変わります。全員に合うルートは存在しないので、自分の生活設計と相性のよい順番で取り入れていくのが現実的です。
キャリア視点で考える「税金以上のリターン」
制度の中には、「直接お金が戻ってくる」だけでなく「将来の手取りそのものを引き上げる」タイプもあります。しごとえらびらしい着地点として、キャリア視点の制度を3つ紹介します。
①教育訓練給付金(一般・特定一般・専門実践)
雇用保険の教育訓練給付制度は、対象講座の受講料の一部が後から還付される制度です。給付率は講座区分で異なります。
- 一般教育訓練給付:受講料の20%(上限10万円)
- 特定一般教育訓練給付:受講料の40%(上限20万円)
- 専門実践教育訓練給付:受講料の最大70%(年間上限56万円・最長4年)
②リスキリング・人材開発支援助成金
勤務先がリスキリング制度を整えている場合は、研修費の自己負担がかなり軽くなります。会社経由で利用できる人材開発支援助成金を活用しているかどうか、人事に確認しておくと選択肢が広がります。
③学び直しで生涯年収が変わる
資格・スキル・学位の取得は、その先10〜20年の年収レンジを変える可能性がある投資です。給与水準が一段上がれば、累進課税の影響よりも手取り増の効果のほうが大きい。関連して「親世代の学び直し」「若手社会人の経済サバイバルガイド」も合わせて読むと、年代別の打ち手が整理できます。




- 専門実践教育訓練給付なら受講料の最大70%が還付(看護・IT・MBA等が対象)
- 勤務先のリスキリング制度+人材開発支援助成金で自己負担をさらに圧縮
- 学び直しは年収レンジそのものを引き上げる長期投資



ステルス増税で削られる金額より、学び直しで上がる生涯年収のほうが桁違いに大きい──これがしごとえらびの基本スタンスです。制度を取りにいく延長線上に、キャリアそのものを動かすという選択肢があります。
結論|「払う側」のままでなく、「使う側」になる
2兆円のステルス増税は事実です。一方で、日本の歳出38兆円超を占める社会保障費は、私たちの医療・年金・介護・教育を支え、家計に確実なリターンをもたらしています。この事実を踏まえると、進む方向は1つ。「払う側」のままで終わらず、「使う側」「制度を取りに行く側」に回ることです。
- NISAの非課税枠を年内にどれだけ埋められるか試算する
- iDeCoの掛金で所得控除の年間効果を計算する
- ふるさと納税の年収別上限をシミュレーターで確認する
- 医療費控除・配偶者控除など取りこぼしを年末調整・確定申告で精査する
- 教育訓練給付の対象講座を1つ選ぶ──キャリアの選択肢を増やす投資へ



制度はすべて、知って動いた人にだけリターンが返ってくる仕組みです。今日の1時間で1つだけ着手すると決めるだけで、来年の家計はすこしずつ変わります。
よくある質問(FAQ)
- 「ステルス増税2兆円」は確定値?
-
エコノミストの試算値です。日経新聞2026年5月8日の記事内で紹介された値で、令和7年分の基礎控除・最低給与所得控除の引き上げを織り込んだうえでなお累進税率区分の境目や給与所得控除の上限がインフレに追いついていない部分を金額換算したものです。計算前提によって幅は出るものの「実質的な負担増が残っている」方向感は複数のエコノミストで一致している状況です。
- NISAとiDeCoはどちらを優先すべき?
-
流動性を確保したい人はNISA優先、所得控除を最大化したい人はiDeCo優先が基本です。iDeCoは原則60歳まで引き出せない代わりに、掛金が全額所得控除になります。所得が高く、当面引き出さない資金ならiDeCoの節税効果が効きやすい。家計の余力に応じて、両方を並行運用するのが現実的です。
- ふるさと納税の上限はどう計算する?
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住民税所得割額の概ね2割が上限です。
各ふるさと納税ポータルのシミュレーターに源泉徴収票の数字を入力すれば、年収・家族構成別の上限額が出ます。
上限を超えた寄附は控除対象外になるので、毎年12月に再計算する習慣をおすすめします。
ふるさとチョイス
ふるさと納税の限度額を計算。控除上限額シミュレーション|ふるさとチョイス いくらまでふるさと納税の寄付ができるか寄付の上限額が簡単にわかる機能です。計算シートや目安表を使って、ふるさと納税の控除額を調べることができます。控除額を把握し...楽天市場
【楽天市場】ふるさと納税|マイページ - かんたんシミュレーター 控除される税金はいくら?寄付限度額はいくら?年収や家族構成によって寄付限度額の目安を計算できるシミュレーターをご用意しました。ふるさと納税における寄付金額を検討...https://www.satofull.jp/static/calculation01.php - 副業の青色申告はどのタイミングで始める?
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副業利益が年20万円を超えそうな見込みが立った時点が目安です。開業届と青色申告承認申請書を税務署に提出(開業から2か月以内、または1月15日まで)すれば、その年から青色申告特別控除65万円を使えます。会計ソフトを使った複式簿記+e-Tax提出が65万円控除の条件です。
- 教育訓練給付の「専門実践」は誰でも使える?
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雇用保険の被保険者期間が通算2年以上(初回は3年)あるなどの要件があります。離職中でも、離職日から1年以内なら申請可能。対象講座は厚労省サイトの検索システムで確認でき、看護師・保育士・ITストラテジスト・MBAなど幅広い分野が含まれます。
- マイクロ法人は会社員でも作れる?
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就業規則と副業ルールを確認したうえで、原則として作れます。ただし赤字でも年7万円〜の法人住民税均等割、申告コスト、社会保険関係の運用などのデメリットもあるため、事業利益が継続的に出てから検討するのが安全です。税理士に試算を依頼してから判断することを強く推奨します。
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マイクロ法人とは?作り方やメリット・デメリットなどわかりやすく解説 | 経営者から担当者にまで役立つバ... マイクロ法人とは代表者1人のみの会社のことで、個人事業主が節税目的で設立することがあります。作り方や税金・社会保険料のメリットを解説します。
【2026年5月時点の最新動向】税制改正に向けて押さえておく3つの論点
論点①:令和7年分改正の振り返りと、次の見直しに向けた議論
令和7年分の税制改正で基礎控除と最低給与所得控除の引き上げはすでに実施済みです。
一方で、累進税率の7段階の境目(195万・330万・695万・900万・1,800万・4,000万円)と、給与所得控除の上限額(年収850万円超で195万円。子育て・介護世帯は210万円)は据え置きのままです。
なお、累進税率の最初の境目「195万円」(課税所得が5%→10%になるライン)と、給与所得控除の上限「195万円」(年収850万円超で頭打ちになる金額)は数字こそ同じですが適用基準が異なる別物です。本記事の他の章でも両者を混同しないよう、文脈で明示しています。
自民党税制調査会・経済界では、「累進区分や上限額についても物価スライド方式(CPI連動)を導入すべきか」が継続的な論点として議論されており、令和8年度税制改正大綱(2025年12月26日閣議決定)では見送りとなりました。賃上げ・物価動向次第で、次の令和9年度税制改正大綱(2026年12月閣議決定見込み)以降に盛り込まれるかが注目されています。
論点②:諸外国のインフレ調整事例
主要国の運用は次のとおりです。
- 米国:所得税の税率区分・各種控除を毎年CPIに連動して改定
- カナダ:連邦所得税の税率区分・基礎控除を毎年CPIに連動して改定
- イギリス・ドイツ:定期的な見直しは行うが、年次自動連動の仕組みではない
論点③:次の見直し時期の見通し
令和8年度税制改正大綱(2025年12月26日閣議決定)では、こどもNISA創設など個別制度の改正が盛り込まれましたが、累進税率区分の境目や給与所得控除の上限額そのものの見直しは見送りとなりました。
次の節目は2026年12月に閣議決定される予定の「令和9年度税制改正大綱」で、賃上げ・物価動向次第でこれらの見直しが盛り込まれるかが継続的な論点です。具体案がまとまり次第、本記事も随時更新します。





















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